綾部市は、黒谷和紙会館と工芸の里の2施設の機能を集約した「黒谷和紙拠点施設」の建設を計画。基本設計業務委託に公募型プロポーザル方式を採用し、令和7年度に設計業者を決め、設計を進め、8年度に整備工事を実施し、9年度中の完成を見込む。
廃校となった旧口上林小学校の跡地活用として、平成17年度に黒谷和紙工芸の里を整備。同施設は黒谷和紙協同組合が運営し、売店や紙漉き体験設備のほか、平成18年度から平成29年度までは専門学校の授業で利用していた。
その後、専門学校の撤退や、新型コロナウイルス感染拡大の影響による来館者の減少に伴い収入が大幅に減少。さらに施設の老朽等により、組合の拠点である黒谷和紙会館と工芸の里との2施設の運営が困難となったことから、令和3年度以降は、体験受入の縮小、休止と順次機能を縮小してきた。
こうした中、黒谷和紙協同組合は令和4年度に施設の在り方を検討した「黒谷和紙振興計画」を策定。黒谷町に2つの施設の機能を集約する施設整備を提案した。
市はこの提案を受け、黒谷町に2施設の機能を集約した黒谷和紙拠点施設を整備する方針を決めた。
黒谷和紙拠点施設は、多人数の紙漉き体験・見学に対応できる機能を備えるとともに、和紙工房の環境を整備することで生産・作業効率を向上させ、綾部市の伝統産業の黒谷和紙を後世に引き継ぎ、交流人口の拡大を目指す。
市は19日、黒谷和紙拠点施設基本設計業務委託をプロポで公告した。
対象の土地は、綾部市黒谷町の面積773・32u。所有は黒谷和紙協同組合、個人。敷地測量は実施済、地質調査を実施予定。用途地域は特定用途制限地区(田園居住地区)。建ぺい率は60%、容積率は200%(前面道路幅員による制限あり)。
業務内容は黒谷和紙拠点施設基本設計(既存建物解体含む)。
施設規模はW造一部2階建、延約530u。必要な機能としては、和紙生産設備、団体の紙漉き体験・見学に対応できる機能、多目的スペース(休憩所・特別展会場等に利用)、倉庫、トイレ。
履行期間は令和7年11月14日まで。
委託契約額の上限は1143万5000円(税込)。
プロポの主な参加資格は、▽建築士法第23条の規定による一級建築士事務所の登録▽平成22年から募集要領等の公告日の前日までの間に業務完了した同種施設もしくは同種施設の機能を有する複合施設の基本設計又は実施設計業務の実績がある(なお同種施設は、和紙生産施設、伝統工芸品生産施設、各種体験施設、工場、文化・交流・公益施設とする)等。
参加表明書は6月4日まで。現地見学会は6月10日に開催。技術提案書は6月27日まで。一次審査(書類審査)(参加者が4者以上あった場合のみ)は7月2日、二次審査(プレゼンテーション及びヒアリング)は7月8日に行う。二次審査結果通知及び契約協議・契約締結は7月中旬を予定。
プロポの担当は綾部市農林商工部商工労政課商業担当(рO773−42−4263(直通))。
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黒谷和紙拠点施設の概算工事費は5億1500万円(税込。外構、設備含む)。
このほか、関連工事として、黒谷和紙拠点施設連絡橋整備を計画している。拠点施設整備予定場所と市道黒谷線間に連絡橋を整備するもので、令和7年度に実施設計、8年度に整備工事を行う予定。