大船渡市は21日、大規模林野火災からの復旧・復興の推進に向けて、各種施策の拡充を県に対して要望した。災害廃棄物処理への財政支援や森林災害復旧事業の柔軟な運用など13項目について、支援の拡充を国に対して働き掛けることと、県独自の支援策を求めた。
同日は渕上清市長をはじめとする市幹部職員、同市議会の伊藤力也議長、管内選出の佐々木茂光県議、千葉盛県議らが県庁を訪問。渕上市長と伊藤議長から達増知事に対して要望書を手交した。
渕上市長は被災状況を説明するとともに、県当局の迅速な対応に感謝の意を示した上で「被災者には震災からの再建途上の人も少なくない。物価高騰などを背景に、現行制度では対応しきれない課題もある」と問題提起。「暮らしの再建となりわいの再生を早期に図るため、要望事項の実現に向けた特段の配慮を」と述べた。
市からは「暮らしの再建」「なりわいの再生等」「森林等の早期復旧」の3テーマにわたって、13項目を要望。暮らしの再建の中では、災害廃棄物処理事業への財政支援措置などを要望し、「半壊建物等を公費解体の対象とするよう、国に要望していただきたい。災害廃棄物処理の市負担額の軽減が図られるよう、県独自の制度を創設するなど、財政支援措置を講じてほしい」と呼び掛けた。
森林等の早期復旧に向けては、災害復旧事業の柔軟な運用、二次被害防止への応急対策の実施、被害木の伐採や処理に対する財政支援などを要望した。渕上市長は「4年間での事業完了は困難であり当市の財政負担の増大が見込まれる。災害復旧事業期間の延長など、柔軟な運用と必要な財政支援について、国に働き掛けてほしい」と述べた。
佐々木、千葉両県議も県からの力強い支援を要請。達増知事は、被災者に対するお見舞いを述べながら「本日の要望内容は、今後の復旧復興において重要な事項であり、県の補正予算編成や政府予算要望にも反映させたい」と回答。市をはじめとする関係機関と連携して課題と情報を共有しながら、早期の復旧・復興に取り組む意向を示した。
要望内容は次の通り。
〈暮らしの再建〉
▽災害等廃棄物処理事業への財政支援措置等▽被災者の住宅の再建または補修に係る事業への財政支援措置等▽住宅再建時の合併処理浄化槽の設置に係る予算の確保▽テレビ共同受信施設の災害復旧事業の創設等▽被災児童生徒就学支援等事業の柔軟な運用等
〈なりわいの再生等〉
▽被災事業者等に対する経済的支援および雇用維持に係る支援▽養殖業の加工機械等の復旧整備への支援措置▽焼損した農業用機械の復旧整備への支援措置▽国の林業・木材産業循環成長対策事業へのかさ上げ補助▽被災した自然公園施設の早急な復旧整備
〈森林等の早期復旧〉
▽森林災害復旧事業の柔軟な運用等▽集落や沿道等への土砂流出等の二次被害防止のための応急対策の実施▽焼損した被害木の伐採および処理に係る補助事業への財政支援措置
提供:日刊岩手建設工業新聞