静岡県は、2025年度の優良建設工事表彰から「優良小規模工事部門」を新たに設ける。これまでの「災害復旧・地域貢献部門」は、「災害復旧部門」「地域貢献部門」の二つに部門分けをする。新設と分割により、これまでの7部門から9部門へと受賞枠を拡大することで、各種の建設工事に携わる受注者のモチベーション向上につなげる。
9部門は、全ての建設工事から選考・推薦される「優良工事」「優良技術者」「安全工事」「地域貢献」「ICT」「働き方改革」「災害復旧」「優良小規模」と、維持管理業務からの「維持管理」となる。
「優良小規模工事部門」新設
新設の「優良小規模工事部門」は、当初契約額3500万円未満の小規模工事を対象に、一つの部門として選定する。
24年度の受賞者は、土木一式Aランクが70%を占めた。会社規模などが比較的大きい建設業者が大規模工事を受注する機会も多く、工事成績も高い傾向にある。そのため、これまでの優良建設工事表彰では大規模工事受注業者の表彰受賞が多い一方で、小規模工事の受注業者の多くは表彰される機会が少なかった。
24年度受賞者内訳(土木一式)は、Aランク70%、Bランク17%、Cランク3%、その他専門業者10%。
小規模工事を多く受注している建設業者も、地域住民の生命・財産の守り手であり、地域への社会貢献や地域経済の活性化の役割を担っている。その地位向上を図るとともに、若年者の入職促進など担い手確保につながる取り組みが必要でもある。
部門新設により、受注工事規模が小さな建設業者が表彰される機会を増やす。
「災害復旧・地域貢献部門」分割
「災害復旧工事」は、気候変動に伴う豪雨災害が激甚化・頻発化していることから、その重要性がますます増加している。一方、「地域貢献工事」も、施工に関連したさまざまな環境保全・広報・地域貢献・工期短縮など周辺住民の生活環境を守る上で重要なこととなっている。
「災害復旧・地域貢献部門」の分割は、一つの部門として選定していたものを分けることで、競合せずに表彰選定されやすくすることが狙い。
23年度表彰までは、「地域貢献部門」に災害復旧工事を含んでいた。24年度表彰では、それを「災害復旧・地域貢献部門」として並列に扱うとともに、選定基準も緩和した。
結果、「地域貢献部門」の表彰条件を有する候補は、全体の評定点も高い傾向にあり、優良工事などの別部門への推薦となるという弊害が生じていた。相対的に「災害復旧・地域貢献部門」での地域貢献工事の推薦比率が減少する状況となった。
24年度の災害復旧工事の部長表彰以上は5件(推薦7件)に対し、地域貢献工事は0件(推薦0件)だった。
提供:建通新聞社