京都府は、京丹後市丹後町徳光地区において、農地整備事業(経営体育成型)を計画。ほ場の区画整理(大区画化)と農道や用排水施設の一体的な整備に乗り出す。
同事業を巡っては、府営農業競争力強化農地整備事業(農地整備事業[経営体育成型])(徳光地区)として、令和6年11月に開催した府の公共事業評価に係る第三者委員会で事前評価した。
徳光地区は、地区中央に二級河川竹野川水系徳良川が流れ、両岸に広がる低平地にある農業地帯。最上流部にある徳良大池、三津池、峠谷池と各谷部に夜光池、行地池を水源に、水稲を中心とし、サツマイモや九条ネギ等を組み合わせた営農が展開されている。
ほ場の区画が10アール程度と小さく、農道が狭いことで効率的な農作業を行う上で妨げとなっていることから、担い手への農地集積が進んでおらず、用水施設が老朽化による漏水などで農業用水の安定供給に支障をきたしていることや、施設の維持管理に多大な労力を必要とする状況にある。
一体的な農地整備に取り組むことで水田の区画を大きくし、農道幅を広く改良することで大型化した農作業用機械による営農が可能となり、労働力の軽減及び経費の節減を図る。用水施設を整備することで施設の維持管理費用と労力の軽減並びに排水路を整備することで乾田化により高収益作物の作付拡大を図る。
また農業用水を無駄なく効率的に利用するため、パイプライン化にするとともに、農業用水の不足分を補うため地区の最下流部に貯水池を造り、水田からの排水を貯め、上流部のため池へ汲み上げて反復利用して必要水量を確保し、安定した営農ができるようにするとともに、自動給水栓装置設置により労力軽減を図る。
地区面積はA34・7f、農家戸数は92戸。主要工事は、区画整理A27f、道路工L5・1q、用水路工L8・7q、排水路工L5・0q、暗渠排水工A27f、揚水機場1ヵ所、貯水池1ヵ所、井堰1ヵ所。
地形勾配はI=1/77の準平坦地。現在の狭小なほ場(10アール、0・1f程度)を大区画化し、農作業の効率化を図る。区画整理では、田面差を1・5m程度で計画すると、長辺100m、短辺50mの0・5f(50アール)の区画を標準とし整備する。
農道は、現況2・0mと狭く、農作業用機械が停車すると迂回しなくてはならない状況。そのため、道路工で計画農道はトラクターと軽自動車がすれ違いできる幅員を考え、幅員の標準を5・0mとして計画。舗装は砂利舗装とする。
用水路は、素掘り水路で一部コンクリート水路が設置されているが、老朽化が激しく漏水しており、十分な用水を下流へ送水できない状態。そのため、水路工では、パイプラインとして整備を行うことで漏水を極力抑え、水管理の省力化のため、自動給水栓等を設置し、無駄な水使用を抑え、労力の軽減を図る。排水路は、老朽化した水路を改修し、維持管理に要する労力を軽減する。コンクリート排水路の一部を既設利用し、撤去及び処分に係るコスト縮減に努める。
用水確保のため、排水路の流末に貯水池を設け、最上流の徳良大池へ汲み上げることで、用水不足を解消する。
環境配慮対策として、地区内で現況のまま残すエリアを決め、移動できない植物を移植し、保存するよう努める。
総事業費は13億3870万円を見込む。総費用総便益比(B/C)は1・32と算出した。
事業費の負担割合は、国55%、京都府27・5%、京丹後市10%、地元農家7・5%。
工期は令和7年度から12年度までを予定。
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丹後広域振興局は5月27日、徳光地区の土地改良事業計画を明らかにした。
それによると、区画整理は区画の形状が計4通り。100m×100m(1・0f)が12・1f、100m×50m(0・5f)が6・0f、100m×30m(0・3f)が3・8f、100m×20m(0・2f)が5・0fの計26・9f。
暗渠排水は@集水渠PE(有孔管)50o、L720mA給水渠VU100o、10m。
用水路は、@支線用水路VUφ75〜500、(トンネルその他)L5・33qA支線用水路UF250〜350(H)900×(B)1600、(開渠)L1・38qB徳良大池送水管VPφ250、(トンネルその他)1・96qの計8・67q。
排水路は@支線排水路VUφ200〜400、(トンネルその他)0・84qA支線排水路BF250〜550、(開渠)1・72qB支線排水路2AP600×800〜3AP900×1600、(開渠)2・41qの計4・97q。
道路は@支線道路B5・0m(4・0)、L2・92q(敷き砂利舗装)A支線道路B3・0m(2・5)、L2・21q(敷き砂利舗装)の計5・13q。
環境配慮の方法としては、地区内にある湿地帯をそのままに保存し、地区内で見つかった希少種は地区に隣接する既存の湿地に移動させる。新設する貯水池に設置する維持管理用スロープを水性生物の避難路として活用する。
事業費は13億3870万円を見込む。内訳は区画整理工10億6260万円(@整地工1億7820万円A道路工8580万円B用水路工5億3570万円C排水路工2億6290万円)、暗渠排水工6380万円、測量試験費1億5070万円、補償費550万円、換地費5610万円。このほか別途、事務費6690万円。総費用総便益比は1・34と試算した。
着手時期は令和7年7月で、完了は13年3月を見込む。
令和7年度からの実施設計を経て、8年度から整地工、道路工、用水路工、排水路工にとりかかる《=表参照》。
丹後広域振興局は、令和7年度事業費に2774万4000円を計上。実施設計業務一式、境界確定測量業務一式、換地業務一式を予定。