京都市は28日、学識者による研究会で検討を進めている都市計画道路網の見直しについて、今夏頃に見直し案を公表する考えを明らかにした。
京都市会の代表質問が28日行われ、都市計画道路網の見直しについて、竹内重貴副市長が答弁した。
竹内副市長は「今日の京都市の発展の礎となる都市計画道路の整備を着実に進めてきたが、財政上の制約、急速な都市化の進展に伴う合意形成の困難などから、計画決定後100年近く経っても未整備の路線がある状況。こうした状況を踏まえ、京都市で3回目となる計画の見直しに向け、昨年9月に学識者による都市計画道路網の見直し研究会を設置し、これまで4回の研究会を開催し議論を進めている。これまでの研究会では、対象路線の現状把握とあわせて、未整備の都市計画道路が所在するエリアの課題を抽出し、道路整備がそうしたまちづくり、都市機能の強化にいかに貢献できるかといった視点から検討を進めている。例えば、高いポテンシャルを有するけれども、土地利用の高度化がされていないといった課題。あるいは、都市の骨格を形成する道路、幹線道路がないために都市活動に支障が生じているといった課題について、そういった観点から見直しを検討している。それから新たな視点として、今後の人口減少、財源の制約の中で、持続的な発展に資する道路整備を効果的、重点的に行うため、今回の見直しにおいて、新たに時間軸の視点、それから優先度をつけるという視点、こうしたものを取り入れていきたいと考えている。こうした方向性のもと、丁寧かつ大胆に見直しを検討している。今年夏頃には見直し案を公表していきたい」と考えを示した。
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京都市の都市計画道路は、計画路線481・2qのうち整備済みは360・2q。未整備区間121・0qの内訳は、概成済区間(概ね計画幅員の2/3以上の幅員が確保されている区間、又は、現に4車線以上の車線を有する現道区間)17・6q、事業中区間8・9q、未着手区間94・5q。
市は、長期間事業に着手していない都市計画道路をこれまで2回見直しを実施。平成13年度に10路線(約5・7q)、平成23年度に43路線(約55q)を廃止した。
今回の見直し対象は、未整備区間延長121・0qから、事業中区間延長8・9q、京都高速道路(関連路線を含む)未整備区間延長16・3qを除いた約96q。京都高速道路(堀川線・久世橋線・西大路線)及び関連路線は、国による「堀川通の整備」に併せて都市計画道路の廃止手続きを進めていくため、今回の見直しの対象外。
市は、令和6年9月に第1回都市計画道路網の見直し研究会を非公開で開催。今回の見直しの方向性案を示した。
見直しの方向性案は、道路整備の実情(▽これまで着実に整備を進めてきた結果、整備済みの延長は360q、整備率は75%まで進捗したものの、残り121qが未整備▽近年は橋梁の老朽化修繕をはじめ、既存道路のストック対策を本格化。近年の都市計画道路の整備費は大きく減少▽今後、都市計画道路整備費の大幅な増額は見通せない中、未整備区間の整備を完了するには相当程度の長期間を要する)、社会経済情勢の変化(▽平成23年度の都市計画道路網の見直し以降、人口減少や高齢化の進展による課題がより明確化▽京都市の財政状況は、行財政改革の集中改革期間中(令和3〜5年度)に改善したとはいえ、今後も社会福祉関連経費の増大が見込まれる)を踏まえ、これまでの見直しの〈必要性〉や〈実現性〉の視点に加え、財政状況を踏まえた〈整備優先度〉の視点を盛り込み、将来にわたる整備の実現性を考慮した存続路線の絞り込みを行う。