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建通新聞社四国
2025/05/30

【愛媛】山鳥坂ダム 建設事業費を増額 1980億円に 事業費監理委で見通し

 国土交通省山鳥坂ダム工事事務所は、大洲市肱川町山鳥坂(肱川水系河辺川)に建設する山鳥坂ダムについて、社会的要因の変化や現場条件の変更などにより、建設事業費が現行の約1320億円から660億円ほど膨らみ、約1980億円になる見通しを示した。工期についてはやや遅れるものの、現行の2032年度完成を目指す方針。
 5月26日に松山市内で開催の「山鳥坂ダム工事事務所 ダム事業費等監理委員会」(委員長・森脇亮愛媛大学教授)で事務所が説明した。増額の主な内訳は公共工事関連単価などの変動で約280億円、工事積算基準の変更で約30億円、施工計画などの設計進捗による変更で約240億円、安全対策で約20億円。この他、将来の事業費の変動要因への対応(リスク対策)として残事業費の10%に当たる約110億円を増額する。一方、コスト縮減で約20億円の減額を挙げているが、コスト縮減の工夫をしても事業費の変更が必要とした。
 公共工事関連単価などの変動については、21年度単価以降の単価上昇を反映した。工事積算基準の変更については、現場管理費率・一般管理費率の24年度改定に伴いダム本体で約20億円、関連工事で約10億円をそれぞれ増額する。
 また、施工計画などの設計進捗による変更では、水理模型実験の結果を踏まえ減勢工の構造変更で約20億円増、放流設備の寸法・形状変更などで約40億円増、減勢工下流右岸法面の地山保護(護岸工の追加)で約20億円増とする他、本体工事仮設備ヤードの変更で約130億円増、付け替え道路の盛土構造の変更や法面保護工の追加で約30億円増とする。
 安全対策の増額分(約20億円)については、山側で施工中の付け替え県道工事の安全性向上のため、施工期間中の落石防護柵の設置(約1・8`)や交通誘導員の配置などに充てる考え。
 当日の会合は非公開で行われたが、委員会からは「近年の物価変動などにより事業費が約1980億円となることはやむを得ない」とした上で、「新技術の活用などにより、徹底したコスト縮減に努めること」「32年度完成見込みの順守にとどまらず、一日も早い治水安全度の向上に向け、工期短縮に努めること」「引き続き付け替え道路の早期供用に向け事業を進めること」の3点で意見があったとした。また、同日には大洲市内で山鳥坂ダム建設事業の事業再評価などを審議する肱川学識者会議も開催。この事業費増額を含めた事業継続案が妥当との評価を受けている。
 事務所は今後、付け替え県道工事などの整備を継続する一方、本体工事(堤体工)の早期着手に向けて、入札などの手続きを進める。

提供:建通新聞社