神奈川県県土整備局が2024年度末までに完了した土木工事767件のうち、情報共有システム(ASP)の試行件数は416件で、23年度と比較して196件、89%増加した。また、遠隔臨場は158件と23年度よりも72件、84%増えた。試行から3年が経過し、導入が本格化している。営繕工事の試行件数は情報共有システムが12件、遠隔臨場が8件で、23年度から大きな増減はなかった。
県土整備局の情報共有システムは、22年度に受注者希望型で試行を始めた。23年度からは監督員などとのやり取りが多い大規模な工事に発注者指定型を適用、本年度からは発注者指定型の工事を中規模の工事にも広げた。
全体の試行件数は23年度が230件、24年度が428件だった。県の担当者は試行件数の増加について「受発注者に向けた説明会などで周知が進んだ」と見解を示す。試行した事業者からは「予想していたよりも導入は難しくなかった」「時間の短縮につながった」などメリットを実感する声が上がる。
遠隔臨場は情報共有システムと同様、22年度に試行を開始した。監督員の移動距離が長い、立ち会いの回数が多いなど効果が期待できる工事を発注者指定型とし、これ以外を受注者希望型とした。土木工事では23年度まで発注者指定型以外の工事では受注者が導入にかかる費用を負担していたが、24年度からは受注者希望型の工事でも発注者が機器のリース料や通信費などを負担することとした。
全体の試行件数は23年度が93件、24年度が166件だった。職員の働き方改革につながるとともに、監督員が現場に到着するまでの待ち時間がなくなり、作業の遅延が減るなどの効果があった。
情報共有システム、遠隔臨場ともに実績は増えているが、一部の受注者からはデジタルに対応できる人材がいないため、導入に踏み切れないという声もある。県の担当者は情報共有システムと遠隔臨場について「今後も建設関連団体などと連携しながら活用を広げたい」と話す。
提供:建通新聞社