神奈川県が公表した2025年3月分の毎月勤労統計調査(速報)によると、建設業(事業所規模5〜29人)の1カ月当たりの所定外労働時間は16・9%増の18・7時間だった。24年度は減少傾向にあったが、1月から3カ月連続して増加した。総実労働時間は164・6時間で減少率は1・6%にとどまり、全15業種中最も長い。ここ5年間で大きく上昇してきた給与額(残業代含む月給)も前年同月から9・3%減の39万8806円と改善が一服している。
建設業の所定外労働時間は、時間外労働の上限規制を受けて減少してきたが、2月に続いて前年比2桁増が続く。建設業と同時期に法規制の対象となった運輸業では3月が31・4%減の17・9時間、総実労働時間も10・5%減っており、建設業の悪化が懸念される。
3月の出勤日数は19・4日と全産業平均の16日より3・4日多く、完全週休2日制がまだ業界全体に定着していないことが伺える。総実労働時間は全産業平均の125時間を39・6時間上回る。
待遇面を見ると、手当込みの給与額が前年同月から8・7%減の40万6180円。一貫して上昇基調にあったが3月は足踏みしている。それでも、全産業平均の30万2312円は大きく上回った。
4月から県内の主要な生コンクリートの工場や建設関連の運輸業者などで完全週休2日制の導入が始まった。給与についても連合のまとめによると、25年度の中小企業(全産業)の平均賃上げ率はプラス4・93%と前年同期比を0・27ポイント上回っており、今後の改善が注目される。
24年は労働時間1%増、賃金は10%増
県の24年1〜12月の調査によると建設企業(事業所規模5〜29人)の総労働時間は前年比で1%増えた。所定外労働時間は16・6%減ったものの、所定内労働が逆に増えたことが要因。
建設業の所定外労働時間は、過去4年間伸び続けていたが、24年は大きく減少。20年との比較では4・6%の増加で、全産業平均の11・4%増を下回った。ただ、総労働時間は微増傾向が続き、20年と比較すると5・8%の増加。週休2日制など働き方改革に取り組む中にあって、目立った成果は上がっていない。
賃金の状況を見ると、決まって支給する給与(月給)は前年に比べて8・2%、ボーナス込みの現金給与総額は10・2%増えた。20年と比べると月給は25・4%、ボーナス込み給与総額は28・5%増加した。全産業の平均は5〜6%増、建設業でも30人以上の事業所は9・2%増となっており。ここ5年間に限れば、中小建設業の賃上げ幅は全15業種最大となっている。
提供:建通新聞社