大阪府は、府内にある建築物の耐震化の促進を図る「住宅建築物耐震10カ年戦略・大阪」を2026年3月に改定する。次期計画期間は26〜35年度の10年間。「耐震化の状況を把握し、地域特性、建物特性、世帯特性に着目した取り組みを実施」を基本方針とし、耐震化率と各事業の具体的な目標を設定する。
耐震化率による目標1は、6月中に発出予定の住宅・建築物の耐震化に関する国の基本指針を踏まえて方向性を検討する。
府の耐震化の進捗状況は、木造住宅・分譲マンションを含む全ての住宅で23年度末時点に耐震性が不十分な住宅は約40万戸。耐震化率は90・5%。現計画では25年度末の目標として耐震化率95%を目指している。
大規模建築物は、25年度末に耐震性が不足するものをおおむね解消するとしており、24年度末時点で耐震性不足棟数は59棟(耐震化率92・5%)となった。病院建物の耐震化率の向上が課題としている。
沿道にある一定の規模を超える建築物やブロック塀など広域緊急交通路沿道建築物についても、25年度末の目標で耐震性が不足するものをおおむね解消を目指しているが、24年度末時点で耐震性不足棟数は183棟で耐震化率は33・5%にとどまっており、分譲マンションなどの進捗率を上げることが課題だ。
■建物別の取り組みを具体化
次期計画の目標2では、着実に危険な住宅・建築物を減らすための具体的な取り組み目標を定める。木造住宅、分譲マンション、大規模建築物、広域緊急交通路沿道建築物に分けて各事業の取り組みを具体化する。
木造住宅では、▽各市町村で旧耐震木造住宅をピンポイントで把握▽地域特性、建物特性、世帯特性に応じた支援メニューと働きかけ手法・優先度を整理▽所有者の意向把握を含めたダイレクトメールなどの実施▽住み替え促進(福祉連携による相談支援、除去補助による後押し)▽耐震化、生命重視型改修・減災化メニューのわかりやすい周知―などを図る。
分譲マンションでは、旧耐震基準で建設された約15万戸に効果的な働きかけを実施する。具体的な取り組みとして、初動期の支援策として耐震判断の事前相談などをサポートできる仕組みづくりや適正管理から耐震化までのトータル的な情報を周知(耐震改修、建て替え、除去)を盛り込む。
不特定多数の人や避難に配慮が必要な人が利用する大規模建築物では、耐震性不足が多い病院に対し重点的に働きかけるとともに、残る59棟全てに効果的な働きかけを実施する。病院に対し耐震改修工法の提示などのプッシュ型の働きかけの実施や病院部局と連携した戸別訪問などに取り組む。
広域緊急交通路の沿道にある建築物では、閉塞(へいそく)リスクの高い建築物で重点的な取り組みを推進。道路閉塞リスクの把握により、働きかけを優先付けるとともに、道路閉塞リスクを軽減するため段階的改修制度を検討。耐震改修工法の提示などの働きかけも合わせて実施する。
提供:建通新聞社