神奈川県は、護岸など海岸保全施設の基本的な考え方を定めた「相模灘沿岸海岸保全基本計画」の改定に当たって、相模灘の護岸などの高さを2100年までに平均約1・4b高くする必要があると結論付けた。計画の改定に向けて設置した検討会の中で、今後の海面水位の上昇や台風の規模の想定を踏まえてまとめた。東京湾の海岸保全基本計画についても同様の検討を続けており、相模灘は2025年度、東京湾は26年度の改定を目指す。
神奈川県の海岸保全基本計画は相模灘と東京湾の二つで、いずれも04年度に策定。東日本大震災の被害を踏まえて15年3月、海岸法施行令の改正に伴い16年3月にそれぞれ計画を変更した。
計画の対象範囲は相模灘が三浦半島の剣崎から静岡県境まで。東京湾は東京都と千葉県、神奈川県が共同で計画を策定しており、神奈川県区間は多摩川から剣崎までとする。
一方、国は20年11月に海岸保全基本方針を変更し、将来の気候変動を考慮した対策へと転換した。各都道府県に対しては21年8月、気候変動の影響を踏まえて海岸保全施設の整備の水準を検討するように通知。将来の予測は21世紀末までに平均気温が2度上昇するシナリオを前提とする。
県は基本計画の見直しに向けて技術検討会を設置し、学識者や沿岸の市町との議論を進めてきた。本年度の改定を目指す相模灘の検討会では、今後の海面水位の上昇や台風の規模を踏まえ、護岸などの高さを21世紀末までに平均約1・4b高くする必要があるとした。東京湾の護岸の高さについても検討を続けており、本年度末までに結論を出す予定だ。
6月20日の県議会第2回定例会で神倉寛明氏(自民党)が計画の改定に向けた検討状況について質問。「県民の命や財産を守るためには、気候変動の影響を踏まえた計画とすることが重要だ」と強調した。黒岩祐治知事が進捗を明らかにした。
提供:建通新聞社