国土交通省近畿地方整備局と建設産業専門団体連合会(建専連)、建設産業専門団体近畿地区連合会(近畿建専連)など建専連会員団体は6月25日、大阪市内で意見交換会を開いた。2024年度に第3次担い手3法が成立したことに伴い、団体側は監視・指導体制を強化することで「労務費の基準」の実効性を高め、元請け・下請け間の契約に反映させることを要望した。
さらに、価格競争から質の競争へと転換するため、意識改革の重要性について関係者に周知・啓発することを求めた。
近畿地整側は、改正建設業法の中で、労務費の基準を著しく下回る見積書の作成や変更依頼、定価割れでの総価請負契約を禁止する規定を設けていることを説明。建設Gメンの増員や駆け込みホットラインの設置などを通じて実態把握に努めるとともに、公共・民間の発注者向けの説明会などを行うことで労務費の基準の実効性を保つ方針だ。
また、工期の適正化に関する議論で団体側は、会員団体加盟企業を対象とした調査で「4週8休以上」を実現していると回答した企業が1割程度に留まっている現状を踏まえ、国による支援・制度整備の必要性を訴えた。
今回の意見交換では、工期ダンピング対策として受発注者双方による著しく短い工期による契約締結を禁止している第3次担い手3法を踏まえ、ルールの浸透・定着を図ることを確認した。また、公共工事で8月を休工にする工期設定を試行導入するなどの大胆な改革案について引き続き検討することで合意した。
この他、「CCUSカードリーダーの設置促進」を共通テーマ、「日本人若年者の入職促進策」「現場入場時の外国人労働者の割合」を独自テーマとして挙げて意見を交わした。
意見交換に際して、建専連の岩田正吾会長は「建設業は他産業と比較して賃上げが進んでおらず、先進国の中で最低レベルの賃金となっており、いずれ外国人労働者にも選ばれなくなる」と危機感を示し、「安全で安心な国民生活を維持するため、早急に処遇改善と働き方改革を進める必要がある」と呼びかけた。
近畿地整の長谷川朋弘局長は、「第3次担い手3法を踏まえた取り組みを直轄工事で積極的に推進するとともに、地方公共団体や民間事業者にも働きかける」と話した。
※写真は建通新聞電子版に掲載中
提供:建通新聞社