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建通新聞社(神奈川)
2025/07/03

【神奈川】建設業は業況改善も、深刻な人手不足 日銀・KIP調査

 日本銀行横浜支店は、6月の神奈川県分の企業短期経済観測調査(短観)をまとめ、県内建設業の最近の景況感を示す業況判断(DI)はプラス47だった。前回3月から29ポイント上昇し、調査開始以来最高の値を示した。同時期に発表した神奈川産業振興センター(KIP)の中小企業景気動向調査によると、4―6月期の建設業の業況判断はプラスマイナス0で、1―3月期から1・6ポイント改善し、全6業種で最も良かった。ただ、雇用状況DIはマイナス46・6と6業種の中で突出して悪く、業況は落ち着いているものの、人手不足の深刻な影響が懸念される。
 日銀短観、KIPの調査とも、数値は「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いたDI値で示す。
 日銀短観の全11産業合わせた現況DIはプラス22。建設業のプラス47は全産業で最高。先行きを示すDIはプラス18と前回調査と変わらずだった。小野寺拓支店長は「公共、民間ともに工事の受注が順調。価格転嫁も進み、利益率が上がっているとの声がある」と話す。建設業の業況DIがこれまで最も高かったのは19年にあったプラス39で、今回はこれを大きく上回った。神奈川県分の調査対象は286社(製造業123社、非製造業163社、業種別の内訳は非公表)。

業績堅調も人手不足の受注減を懸念

 KIPの実施した4―6月期の中小企業景気動向調査によると、全6業種の業況DIの平均はマイナス24・8。調査対象が中小企業に限られるため、日銀短観より悪い数値を示す傾向があり、建設業のプラスマイナス0は全業種中最も高い。また、前年同期のマイナス9からも大きく改善しており、中小建設企業でも堅調な経営状況が伺える。
 建設業の項目別のDIを見ると、売上はマイナス10・3(1―3月期はプラス6)、採算はマイナス19(同マイナス12・8)。公共工事の受注残が減る4−6月期は、景況感が落ち込む時期で、完成工事が多い1―3月期より悪化する。一方、前期実績の調査では売上水準がプラス8・6(1―3月期はマイナス7・7)、利益実績は27・6(同プラス6)と高い水準を示した。
 一方、雇用状況については、4―6月期がマイナス46・6で、1―3月期のマイナス50とほぼ変わらず、全業種と比べて極めて深刻な状況が続く。
 建設業者の回答からは「人手不足で今後の売上は下がる」「受注が好調な反面、現場代理人不足が深刻化しつつある」「コストが上がり、請負金額の再度引き上げ交渉が必要」「残業規制によって工事の遅延がいくつか発生した」などの声があった。
 KIPの調査対象は919社で、このうち建設業は117社。


提供:建通新聞社