徳島県内の労働災害死亡者が5月末で5人と前年同期の3人から大幅に増加したことから、厚生労働省徳島労働局(亀井崇局長)は6月30日、死亡労働災害撲滅の緊急要請を県内9団体の代表に対し行った。亀井局長から要請文を受け取った=写真=後、団体を代表して西村裕建設業労働災害防止協会徳島県支部長が「これ以上尊い人命が失われることがないよう、一層の安全衛生活動に取り組むことを表明する」と決意表明した。
5月までに発生した徳島県内の死亡労働災害は、1月に土木工事業の60代が斜面上での運搬作業中に転落。同月には農業の40代が貯水池周囲で作業中、足を滑らせ池に転落し溺れた他、警備業の70代が伐倒木に激突。4月にも林業の40代が伐倒木に激突され、5月には運輸交通業の70代が車両運転中、道路から車両とともに転落し炎上した。
徳島労働局は9団体の代表に、「土木工事業の災害は工事現場の作業場の端で片付け中に斜面を墜落・転落して頭を打った。災害は急斜面で発生しており、手摺りの設置や立ち入り禁止などの基本的な対策ができていれば防げた」と説明。
また警備業の災害では「工事現場で交通誘導員が伐採された木に激突された。木が倒れる範囲は当然、立ち入り禁止にしなければならない」と述べた。林業の災害は「伐採作業中の方自身が伐木に激突された。適切な伐木、適切なチェーンソーの扱い方を行っておれば防げた」とした。
運輸交通業の交通災害は「労働時間の管理など適切な運行管理により運転手の過重労働を防ぐよう取り組む必要がある」と対策を説明。最後に「現場の状況を把握し危険箇所の事前調査など、基本的な安全対策を守っていれば事故にならなかった」と述べた。
緊急要請は第98回全国安全週間(7月1〜7日)を前に行われた。
9団体は徳島県労働基準協会連合会と建設業労働災害防止協会徳島県支部の他、林業・木材製造業労働災害防止協会、陸上貨物運送事業と港湾貨物運送事業の労働災害防止協会、日本ボイラ協会、建設荷役車両安全技術協会、日本労働安全衛生コンサルタント会の県内の支部、労働者健康安全機構徳島産業保健総合支援センター。
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建通新聞社