国土交通省四国地方整備局は、新たな発注方式として試行する「技術提案評価ST型」の初弾工事で「令和7―11年度安芸道路安芸トンネル工事」の一般競争入札を7月に公告する。受注者の技術提案を踏まえ、予定価格の5%を上限として設計変更を認める方式で、特に省人化が必要な技術向上提案を求める。
現行の「技術提案評価型S型」は、技術点の差が付きづらいことや、発注者が設計図書で示す仕様の変更が認められておらず、施工者によって発展的な提案がしにくいといった課題があった。昨年6月に施行した改正品確法で示された「VFM(Value for Money)」の考え方に基づき、新たな入札契約方式としてST型の試行が決まった。
ST型で求める技術向上提案は、発注者が示した仕様に対し、比較的軽微な設計図書の変更を認めた上で、さらなる安全性や生産性、目的物の品質向上、新技術・新工法の活用が期待されるテーマを設定する。
技術向上提案のテーマには、「穿孔」「装薬」「鋼製支保工」「ロックボルト工」の中から、本年度に実施するST型の案件全てに採用する全国共通の1テーマと、四国地方整備局独自で設定する1テーマを選ぶ。どのテーマを設定するのかは明らかにしていない。
新技術についての費用は入札段階での予定価格には含めない。来年2月に予定している契約後、第三者による委員会で審議し、予定価格の5%の範囲内で変更契約する。
本年度は、安芸トンネル以外に北海道開発局の「島牧村新穴潤トンネル工事」、中部地方整備局の「藤枝BP原トンネル工事」、九州地方整備局の「越次トンネル新設工事」の3件の工事がST型で発注される予定だが、安芸トンネルが最初の発注となる。山岳トンネル以外の工事でも、地方整備局の判断で順次、ST型を試行する。
安芸トンネルは高知県安芸市黒鳥から西浜までの延長1126b。四国8の字ネットワークを構成する安芸道路の一部となる。工事をめぐっては当初、2023年9月に一般競争入札を公告し、落札者も決まっていたが、入札契約手続きを取り止めていた。
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建通新聞社