滋賀県立美術館はこのほど、先に公募型プロポーザルを実施していた滋賀県立美術館整備基本計画策定支援業務について、担当として日建設計大阪オフィス(大阪市中央区)を特定した。委託期間は、26年3月31日まで。
同美術館は、84年(昭和59年)の開館以来、継続して展示や研究・保存・教育交流事業等に積極的に取り組んできた。しかし、県政世論調査によると、文化芸術分野の満足度は他の政策分野と比較して相対的に低く、将来に向けた期待度も同様に低い状況にあることが判明。利用者数も長期的に減少傾向にあり、県民や社会に対して十分に役割を果たせていないことに加え、喫緊の老朽改修等は行っているが抜本的な施設改修や設備更新が必要な状況にあることから、今回委託する支援業務で整備の方向性を示していくこととした。
現在のところ、空調設備の老朽化対策(空調機・配管・冷温水発生器等)、雨水逆流対策(地下の雨水排水管逆流)、屋内外照明設備LED化、利用者エレベーター改修、自動ドア等更新、回廊等結露対策などの対応や、各施設との動線整備及び利便性向上に係る各種工事が検討されていく見通しだ。
これまでの修繕等を見ると、04年(平成16年)に中央監視装置を更新、09年(平成21年)に自家発電設備・冷温水発生器を更新、20年(令和2年)〜21年(令和3年)に屋根防水改修・展示室ガス消火設備導入・トイレ更新・ロビー耐震改修・展示室照明更新・冷却塔更新・キッズスペース・授乳室・ラボ等の整備を、23年(令和5年)〜24年(令和6年)に、屋根防水・外壁改修・作品用エレベーター更新・冷温水ポンプ更新―等が行われた。
館内には、県ゆかりの作品や日本美術院を中心とした近代日本画、戦後のアメリカと日本を中心とした現代美術を軸にコレクションを展示。また、研究・保存等の美術館に求められる機能を果たしている。16年(平成28年)には、日本国内の公立美術館として初めて収集方針の柱にアール・ブリュットを掲げ、展示や研究等の活動を深化させてきた。
提供:滋賀産業新聞