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北海道建設新聞社
2025/07/10

【北海道】猛暑続く道内/熱中症対策商品は品薄や在庫切れ相次ぐ

 道内で今夏初めて熱中症警戒アラートが7日に発令されて以降、建設現場で休工が相次ぐ一方、リース・レンタル会社には暑さを和らげるファンや冷蔵庫、クーラーハウスなどの問い合わせが殺到している。品薄や在庫切れの商品や製品も相次ぐ。作業服を取り扱う店舗では、汗を吸い取る肌着が人気で、ドラッグストアでは経口補水液など飲み物が飛ぶように売れている。異例の暑さはまだ続く気配だ。現場では万全の準備と工夫が必須だ。
 ■人気商品は在庫切れ発生
 カナモト(本社・札幌)広報室の田村優臣次長は「例年より早い時期から暑さが厳しくなったことに加え、6月から熱中症対策が義務化されたことが追い風となって、現場の熱中症対策も例年より早くから問い合わせが来ている。一部の人気商品は在庫切れも発生している」と話す。
 人気商品は飲める細かな氷を作るアイススラリー冷蔵庫、クリーンエネハウス、顔解析AIで推定される体調状態を把握できるカオカラ。
 アクティオ(本社・東京)北海道支社の村山謙一営業部長も「ことしは早くから引き合いが来ており、定番商品から新製品まで品薄が出ている。法改正もあり商品拡充を進めている。カオカラや新製品は問い合わせが多い」と出足の速さを振り返る。
 人気商品で万全な対策を取るのは岩田地崎建設(本社・札幌)だ。暑さでは本道を上回る東京都港区の現場でアイススラリーを配布する。
 現場代理人を務める木克己作業所所長は「現場の気温は34度。結晶が小さい氷で流動性が高く飲みやすい。体の深部体温を下げることが効果的と判断した。水分と同時にエネルギーや塩分も補給できる」と効果を実感する。
 ■低価格でも強い味方に
 低価格でも即戦力となる商品もある。ワークマン(本社・群馬県伊勢崎市)広報部の担当者は、全国のオンラインストアと店舗で「建設業では、『汗が染みても目立ちにくい半袖Tシャツ』が売れている。特殊な繊維を加工し乾きが早く、ファンウエアと組み合わせると衣服内が快適だ。手首に巻く『暑熱バンドPRO』は脈や心拍の情報から体内が暑くなった時に振動で知らせるデバイスで、リーズナブルだ」と胸を張る。
 北辰土建(本社・北見)は腕に巻く熱中症アラートバンドを作業員に支給した。同社担当者は「特に土木工事は日陰が少ない中での作業が多く、予防につながっている」と備えを充実させる。
 一般的となりつつあるファン付き作業服も効果が高い暑さ対策だ。プロノを展開するハミューレ(本社・札幌)広報法務課の担当者は「首を冷やす『ヒヤリング』の大量購入があった。建設業ではファン付き作業服の売れ行きが好調だ」と推移を見守る。
 8日は帯広で最高気温36・2度を観測した。昭和熱器工業(本社・中札内)の森田友昭社長と中田理取締役工事部長は「現場では空調服が必須」と口をそろえる。空調服は4年ほど前に導入・支給。作業員からは好評だ。
 渡辺建設工業(本社・根室)の担当者は「ことしは例年と比べ異常な暑さ」と指摘。現場事務所は一昨年前から冷房を導入。作業者に空調服を着用させ対策を取った。
 ■経口補水液など飲み物が基本
 ツルハホールディングス(本社・札幌)の担当者は「経口補水液、栄養ドリンク、冷却枕、塩分チャージタブレット、冷感スプレーが出ている。去年より気温が高く売れ行きも伸びそう」と推測。
 サッポロドラッグストアー(本社・札幌)の担当者は「今は熱中症や脱水症の時期。経口補水液などの飲み物、衣服にかける冷感スプレーが売れる。建設業には冷感マスクを薦めたい。いずれも季節商材なので終売になるものもある」と注意を促す。
 辻谷建設(本社・弟子屈)は脱水症状による体調の急変を防ごうと常備する飲料をスポーツドリンクから経口補水液に切り替えた。
 丸彦渡辺建設(本社・札幌)は建築現場のほぼ全てでミストシャワーを導入。中野征博札幌支店建築部長は安全面での責任感を強調。人手不足の中で熱中症対策の重要性はさらに高まっている。