神奈川県議会は、最低制限価格の算入率の引き上げを求めている。これについて県土整備局は、一般管理費などの係数を中央公契連モデルよりも高い水準で設定している他県にヒアリングを実施していることを明らかにした。県議会の建設・企業常任委員会で池田一紀局長は「中央公契連モデルの見直しがなされない段階でも独自に検討していきたい」と話した。
県議会では3月に国会と政府に対して、中央公契連モデルの「一般管理費等」の係数の引き上げを求める意見書を提出した。県議会第2回定例会の建設・企業常任委員会では、桐生秀昭委員(自民党)が県内市町村の平均落札率が全国で9番目に低いことを指摘。最低制限価格の引き上げについて複数の建設関連団体から要望があったとした上で「現状の入札制度では、県内中小建設事業者がインフラ整備の担い手や地域の守り手という役割を果たし続けることが困難だ」と強調した。
県土整備局技術管理課の田村貴久課長は現時点の検討の進捗について「最低制限価格の係数を独自に引き上げた6県全てにヒアリングを行っている。引き上げた経緯や係数を設定する際の調査資料などの提供を求めているが、非公表の資料も多いため調整に時間がかかっている」と報告した。県が適用している中央公契連モデルの一般管理費の係数0・68に対して、これら6県は0・7から0・78の範囲で設定している。
池田局長は「最低制限価格の引き上げは建設業の処遇改善に大変重要だと認識している」と理解を示しつつ「他県へのヒアリングを踏まえて検討を進めていく。国の動向をまずは注視するが、県独自で引き上げが可能だと判断した場合には、議会に対しても明確な根拠を示しながら説明する」と答えた。
国土交通省などの調査によると、2023年度の神奈川県の平均落札率は93・5%で、都道府県の中では26番目。ただ、市町村の平均は91・9%で39番目と下位にとどまる。
提供:建通新聞社