高知県は、老朽化が著しい県民体育館の建て替えに伴う基本計画の策定に向け、有識者で構成する「新県民体育館整備等基本計画検討会」(高知県公立大学法人高知工科大学経済・マネジメント学群講師・前田和範委員長)の第1回会合を開催した=写真。競技団体などへのニーズ調査を行い競技面積や固定客数などを把握し整備の方向性を検討することや、25年度内に基本計画をまとめることなどを確認した。また、体育館に併設するプールの他、老朽化が進む県立武道館を新たな施設に集約することも検討する。
新体育館は、利用用途によって床材の仕様が変わるなど、整備の方向性が異なってくる。そのため、スポーツまたはイベント需要のどちらを優先するのかを調査し、競技団体やイベントプロモーターへアンケートなどでニーズ調査を行う。委員からは「スポーツ合宿の需要が高まっており、県外や海外の人々が利用することも視野に入れてほしい」などの要望があった。
1973年建設の県民体育館の規模は、鉄筋コンクリート造2階建て延べ8901平方b。メインフロアは1945平方b(バスケットボール2面、バレーボール3面、バドミントン10面、卓球36面)。主競技場、補助競技場、屋内プールなどで構成し、観客席(固定)1572席を備える。定員は4644人。駐車場82台。
県は、昨年度開催した「県立スポーツ施設のあり方検討会」で、県民体育館の再整備の方向性や考え方を協議。プロスポーツの試合やコンサートを楽しめる空間、災害時に施設利用者の一次避難が可能な施設、全ての人が利用しやすいユニバーサルデザインやエンターテインメントや防災を兼ね備えた施設整備などを重点ポイントとした。
また、新施設はアリーナタイプを想定。メインアリーナが約5000人の観客を収容できる座席数でバスケットボールコート2〜3面、サブアリーナはバスケットボールコート1面を確保。屋外に憩いのスペースと現状以上の台数を収容できる駐車場の他、多様な活用を想定した床、音響、照明、会議室・控室などの整備案を示した。整備候補地については、体育館は交通アクセスの利便性を生かし県民体育館の現有地に整備することが望ましいとした。
整備に向けたスケジュールは、25年度内に基本計画を策定し、26〜27年度に基本設計と実施設計をまとめ、27年度内下期から工事着手し29年度の供用開始を予定している。
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建通新聞社