京都府は、亀岡市の農林水産技術センターを綾部市の農業大学校に移転する計画で、移転後の用地には「スポーツウェルネス産業やフードテック産業の誘致」を目指す。
令和7年3月策定の農林水産業人材確保育成戦略によると、「農業大学校及び農林水産技術センター、畜産センターを再編整備し、多様な人材育成に対応できる教育研修環境や学生寮の改修など生活環境の整備を検討」「再編整備等については亀岡市の農林水産技術センターを綾部市の農業大学校隣接地に移転することに併せ、AI・ICT、ロボット等の最先端技術の研究や、気候変動・SDGsに対応したフィールド研究に学生が触れる機会を創出し、高度な知識・技術を駆使できる人材の育成につなげる」とした。
施設・設備の整備では、府試験研究機関の機能強化と連動した施設整備として、▽分野横断型産学公連携推進棟(新築)(分野横断的に使用できる共同実験室、アイデアを出し合う産学公交流エリア、貸研究室等のリエゾン機能など、分野横断型研究体制を構築するための集約化した執務室)▽実験棟(畜産センターを改修)(スマート技術の開発・実証を行うロボットセンター実験室、各研究機関の集約した実験室から構成される施設)を計画。
上記と連動して、次世代の京都府農業を支える人材にとって魅力ある施設を機能別に整備する。主な内容は、▽教育棟(改修)(農学科の学生を対象に、高度化・複雑化する農業に対応した教育カリキュラムを実施することが可能な施設)▽研修棟(改修)(新たなカリキュラム等を実施するための高度化された教育環境に加え、研修科の学生を対象に、リカレント教育など、多様な担い手を育成するための基礎講座を実施することが可能な施設)▽専攻教室(改修)(京野菜等品目に応じた講座を実施することが可能な施設)▽農業機械研修室及び農業機械練習場(改修)(土地利用型作物のオペレーター育成を目的とした農業機械士養成研修のための施設及び牽引免許等の資格取得のための農業機械練習場)。また学生寮の改修について、社会人経験者や既婚者など入学希望者が多様化していることに併せ、全寮制を改め、自宅からの通学も可能とし、通学のための交通手段の確保や学生用の駐車場等の整備に向け検討。若者のライフスタイルの変化に対応し、プライバシーを保護するための個室化など、学生にとって魅力ある施設の検討を進める。
農林水産技術センター(亀岡市余部町和久成9)の移転を見据え、同センター用地については将来的に売却する考え。
市街化調整区域の農林水産技術センター用地一帯を市街化区域に随時編入が可能な「一般フレーム」に位置づける都市計画見直しを令和6年末に行った。
令和6年度には農林水産技術センター用地売却に係る不動産鑑定評価業務について、宇野不動産鑑定所(京都市中京区)で実施。また令和6年度に続き、7年度も同センター用地の土壌汚染状況調査を帝人エコ・サイエンス(大阪府茨木市)で進める。
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農林水産技術センター東側の土地取得
道の駅駐車場や博物館を計画
亀岡市 京都府の農林水産技術センター東側に隣接する敷地の1万4931・72u(亀岡市余部町天神又1−6外19筆)について、亀岡市は京都農業協同組合(JA京都)から14億2800万円で取得した。市は新たな防災拠点施設整備事業用地と位置づけ、災害時に指定避難所や救助物資の集積拠点となる道の駅ガレリアかめおかの駐車場のほか、令和7年3月に整備基本計画を策定した亀岡市博物館の建設予定地とする。
亀岡市博物館整備基本計画によると、計画地は亀岡市余部町宝久保1−1で、想定規模は延約4000u程度を確保。内部は[収蔵部門900u]▽特別収蔵庫▽一般収蔵庫▽一時保管庫▽収蔵庫前室▽トラックヤード(屋内)▽荷解室、[調査研究100u]▽学芸研究室▽調査室(写真撮影室)▽書庫、[展示1500u]▽展示室、[交流300u]▽市民ギャラリー▽多目的ホール、[管理運営500u]▽職員事務室▽職員会議室▽倉庫▽警備員室▽電気・機械室、[共用700u]▽エントランスホール▽共用スペース▽ミュージアムショップ▽カフェ。
概算の建築工事費は税込53億2400万円(税抜48億4000万)と算出。展示制作設置費は税込11億7698万4600円(税抜10億6998万6000円)と算出した。
博物館単体で建設する場合のスケジュールとして、令和7年10月頃から建築基本設計及び展示基本設計、8年10月頃から建築実施設計及び展示実施設計を進め、9年10月頃から建築工事に着手し、10年度末頃までに完成、展示工事を経て、12年秋以降の開館を想定する。