北海道建設新聞社
2025/07/17
【北海道】ZEB化進む道有建築物/道消防学校校舎など6件
道有建築物のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化が進む。2023年3月に初めて認証を取得した道消防学校校舎から現在まで6件に増えた。改築や増築のタイミングで太陽光発電設備の設置や照明のLED化、木材利用の推進などを複合化し、省エネと創エネで建物が消費する年間の1次エネルギー消費量の正味(ネット)ゼロを目指す。市町村や民間企業の建築計画の参考にしてもらおうと、24年度には完成した施設の見学会を催し、25年度も開く。道の脱炭素化に向けた技術の普及を図る。
道建設部建築局は、23年7月に道有建築物の脱炭素化指針を策定した。新築、改築、増築の場合は、1次エネルギー消費性能を示すBEI0・5以下を原則に掲げた。
道消防学校校舎(RC造、2階、延べ2652u)は道有建築物初のZEB認証。空冷ヒートポンプ式エアコンやLED照明の導入、外壁や窓の断熱性向上、吹き抜けを利用した自然採光・自然換気を実現し、Nearly ZEB認証を取得した。
室蘭建管苫小牧出張所(RC一部W造、3階、延べ1609u)は、23年10月にZEB Ready認証を受け、2件目となっている。省エネ設備や太陽光発電設備設置に加え、執務室の構造を木造化したほか、エントランスなどの内装も木質化し、道産木材を積極的に利用した。
24年度はこの2件の施設見学会を開催し、主に市町村や設計事務所の職員が参加した。ZEBを取得した施設の技術を体験したり、自分たちが計画している施設の参考にしたりと、道建設部担当者は「目的を達成できたという声が多かった」と手応えを感じている。
訓子府町で施工中の北見農業試験場庁舎(RC一部W造、2階、延べ1484u)は、地中熱ヒートポンプ式エアコンを配置する。冬の気温が特に低いため、安定的、効率的に温まる設備を取り入れる考えだ。
建物の用途や地域性、予算などを踏まえ、効果的な手法を考えている。太陽光発電設備の設置や照明LED化は共通し、木材の活用にも積極的だ。道建設部担当者は「技術の汎用(はんよう)性と継続性」をポイントに挙げた。
公共施設はZEBの事例が少ないため、25年度も引き続き見学会を開く考え。道の事例を基に、取り組めることから取り組んでほしいと呼び掛けている。