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建設経済新聞社
2025/07/17

【京都】横輪池の防災対策に3・8億円 堤体嵩上げ等、近く設計着手

 京都府南丹広域振興局は、亀岡市曽我部町寺の農業用ため池の横輪池について、堤体などの防災減災対策を計画。近く実施設計などに着手する。
 横輪池(亀岡市曽我部町寺寺貝ノ庄10)の堤体は、堤高7・35m、天端幅4・80m、堤長63・7m。洪水吐は水路流入式(B1・90m)。取水施設は(斜樋)ため池栓φ0・085m、(底樋)石樋φ0・18m。
 京都府の防災重点農業用ため池に係る防災工事等推進計画(令和3年度〜12年度)において、前期(令和3年度〜7年度)に防災工事に取り組むため池に位置付けられている。
 堤体は、地震時に堤体安全率が既定の安全率1・2を下回り、危険な状況のため、緊急的な改修が必要となっている。また基礎地盤は地震時において部分的に液状化する可能性がある層もある状況。
 取水施設においても、現況の底樋は、石板中央に溝を掘ったものを上下に組み合わせた石樋であり、その接合面の経年劣化により、漏水が生じている。また現況の洪水吐は、流入部の水路高が0・55mと低く、200年確率の計画洪水流量に対して余裕高を確保できていないため、堤体の嵩上げと併せて形式・断面の見直しが必要となっている。
 洪水吐改修計画によると、洪水吐の構造は鉄筋コンクリート三面張水路とし、形式は越流堰式を採用する。設計流量Q1・290m3/s、洪水吐幅B2・40m、越流水深h0・40m。
 堤体補強計画によると、堤体前面を傾斜遮水ゾーン型工法で改修する。法面保護工(上流・制波ブロック(張ブロック)、下流・芝付け)、法面勾配(上流1対2・0、下流1対2・0)。基礎処理工では地震によるすべりや液状化対策として、堤体上下流に基礎地盤改良及び堤体下流に改良土の置換えを施す。
 堤高(計画)は8・0m、堤長(計画)は69・4m、総貯水量(計画)は1万1600m3。
 堤体改修土は近傍から確保し、コスト縮減を図る。
 取水施設改修計画によると、形式は現況と同じ斜樋−底樋構造とする。斜樋は取水孔φ200×2孔(スライドバルブ)、斜樋管φ300、L5・8m(鋼製異形管)。下位の取水孔は緊急放流孔を兼ねる。底樋は二次製品底樋管φ800とし、樋管の途中には止水壁、呑口には泥吐施設を設ける。その他として土砂吐ゲート800×1門(スライドゲート)。
 主な環境配慮項目は、@多様な水生植物・動物にとって需要度が高い浅場環境を残し、生育する環境を現状のまま保全するAシマヒレヨシノボリ、オオタニシの死滅を防ぐため、池内にある程度の水を溜める、あるいは流入水路の接続部周辺を大型土嚢などで囲むなどして、湿潤な環境を維持するB工事の際には、外来種の拡散を防ぐため、可能な限り近隣の土地で採取した土砂を用いる。繁殖力の強い外来植物が含まれていないか確認する等。
 府営土地改良事業(横輪池地区)計画によると、農村地域防災減災事業として、京都府南丹広域振興局は、令和7年度に事業着手し、10年度に工事完了を予定(一部11年度に仮設工等)。工程表によると、7年度に実施設計、8年度に仮設工等、9年度に堤体工、洪水吐工、取水施設工、仮設工等、10年度に堤体工、仮設工等を予定(一部11年度に仮設工等)。
 総事業費は3億8200万円を見込む。主な事業内容は実施設計、堤体工・取水施設工・洪水吐工・付帯工一式、埋蔵文化財調査。事業期間は令和7〜11年度。
 令和7年度は3000万円の予算を充て、実施設計一式などを進める。
 南丹広域振興局農林商工部は16日、令和7年度府営農村地域防災減災事業横輪池地区実施設計業務を指名競争入札で通知。近く開札し担当業者を決める。業務内容はため池改修実施設計、工事用進入路の詳細設計L0・2q。設計工期は令和8年3月13日まで。このほか、測量、土質調査もそれぞれ別途発注して進める。