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建設経済新聞社
2025/07/18

【京都】入札参加資格の見直し方向性 更なる上位等級の設定盛る 地域要件の再設定も示す

 京都府は17日、入札参加資格の見直しの方向性案について、府入札制度等検討委員会(委員長・楠茂樹筑波大学人文社会系教授)に示した。
 見直しについて「最上位等級を超える目標設定が必要」「物価高騰等への対応が必要」「(地域要件の広域化を踏まえ)競争性を確保しつつ、応札可能者数の見直しが必要」「企業の技術力・経営力に応じた要件設定が必要」とし、その方向性案として、@さらなる上位等級の設定(▽現行の最上位等級よりも高次の技術要件や経営要件を設定▽等級別の受注可能額を示す発注標準額を現在よりも高額に設定)→成長する企業へのインセンティブ付与、物価上昇への対応、A競争性を確保しつつ、応札可能者数を見直し(地域要件の再設定)(▽現行制度設定時に確保した競争性を損なうことがないよう、十分に配慮しつつ、応札可能者数の見直しを行う)→地域要件の再設定の2点を示した。
 また入札制度等検討委には、公契約大綱の見直し素案について、具体的な取組の見直し・追加の内容を報告した。
 第三次担い手3法改正を受け、担い手確保・生産性向上・地域における対応力強化等の取組のうち、公契約における受発注者関係の更なる適正化に向け、府として取組の拡充を行うものについて大綱に反映させるため、見直しを行うもの。
 主な内容をみると、府が取り組むべき内容として、処遇改善・価格転嫁対策の本文に[担い手確保のため、労務費のしわ寄せ防止など工事に従事する者の処遇改善に努める]を〈追加〉。ダンピング対策の取組について、▽必要経費が見積書等に内訳明示されているか確認する〈追加〉、▽建設工事の低入札価格調査制度を検証し、見直す→建設工事の低入札価格調査制度の厳格化を試行する〈見直し〉▽市場における労務及び資材等の取引価格に変動が生じた場合は、スライド条項に基づき、適切に請負代金の変更を行う〈追加〉。
 技術と経営に優れ地域に貢献する優良な企業の評価について、▽建設企業の格付けにおける主観点で加点する→建設企業の格付けにおいて技術力や経営力、地域貢献等を評価する〈見直し〉。
 働き方改革・環境整備の推進の本文に[工事に従事する者の休日や必要な準備期間等を考慮した適正な工期の設定等、働きやすい職場の整備を促進]に〈見直し〉とし、適正な工期等を設定及び労働環境を整備する取組に〈見直し〉。▽「工期に関する基準」に基づき、自然要因(降雨・降雪・猛暑日等)等を考慮した適正な工期で契約を締結する〈見直し〉▽週休2日制工事を実施し、公共工事等に従事する者の休日が適正に確保されるよう努める〈見直し〉▽建設現場で働く誰もが働きやすい職場環境の整備を促進する〈追加〉。
 新技術の活用等による生産性の向上について、元請下請関係の適正化の取組で、▽全ての工事で施工体系図と下請契約書の写しの提出を求める→全ての工事で施工体系図と下請契約書の写しの提出を求める(「建設キャリアアップシステム」等の活用により、施工体制を確認する場合を除く)に〈見直し〉。
 入札執行残分を有効活用するに〈見直し〉。▽建設工事の事業費について入札執行残分を地域の事業に還元する→建設工事の事業費について入札執行残分を当該事業に充当するなど有効活用を図る〈見直し〉。
 適切な入札条件等での発注の推進について、本文に「地域の実情を踏まえた適切な条件・発注規模による発注をする」を〈追加〉。応募可能者数の見直しを行うとし、実態に即した見直し内容になるよう分析しているところのため、具体的な記載内容は次回委員会で示すとした。
 災害対応力の強化について、本文について「災害時等において、緊急性に応じた適切な入札及び契約の方法を活用並びに労災保険契約の締結を促進する」に〈見直し〉。災害時等における緊急性に応じた入札契約方法を活用する取組として、▽災害協定に基づく災害復旧工事等に従事する者の労災保険契約に要する経費を適切に確保する〈追加〉。
 公契約の相手方に求める内容として、元請下請関係適正化指針の遵守を求める取組について、▽適正な請負代金・工期での契約の締結〈追加〉▽情報通信技術の活用等による生産性の向上、技術者の育成、労働環境の改善を図る〈追加〉▽災害時の適切な保険契約の締結〈追加〉。
 府は「今後、国が示す適正な水準の労務費を基準とした労務費も含めた必要経費について、見積書等に明示されているかを確認する」「これまで検証としていた低入札価格調査制度については、現行で既に厳格化の試行を始めており、大綱にも明記する」「これまでから工事請負契約書の中で定めていたスライド条項に基づく適切な請負代金の変更についても明記する」「これまで格付けにおいて、主観点で加点するとしていたものを、技術力や経営力、地域貢献等を評価することとし、評価の内容を具体的に明記する」「これまで『建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン』に基づくとしていたが、令和6年3月に改定された現行の基準である『工期に関する基準』に基づき、自然要因等を考慮した適正な工期で契約することとする」などと説明した。