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北陸工業新聞社
2025/07/22

【富山】とやま業界トレンド2025/賃金上昇、過去10年で最高/第1四半期建設業景況調査/東日本保証富山/来期は受注総額が減少傾向に

 東日本建設業保証富山支店は、2025年度第1回「建設業景況調査」の実施結果をまとめた。
 景況調査は、建設企業の景気動向を総合的に迅速かつ的確に把握することを目的に実施しているもの。
 経営動向(地元建設業界の景気、受注、資金繰り、金融、資材、労務、収益の状況)と経営上の問題点について、毎年3、6、9、12月にそれぞれ郵送でアンケート調査を行っている。調査に際しては、同社と取引関係のある建設企業から、地区別と業種別、規模別の分布状況を考慮。経営動向を反映するに足りると認められる企業を対象とし、原則として固定している。
 富山県内の回答企業は57社。項目ごとに4月から6月(第1四半期)の今期実績、7月から9月までの来期見通しを算出した。
 項目別のB・S・I(景況判断指数)値を見ると、「業況等」の地元建設業界の景気は今期、悪い傾向がやや強まった。来期は悪い傾向が強まる見通しであり、業界の景気先行きに対し、悲観的な回答を寄せる企業が多い結果となった。
 今期の「受注総額」は減少傾向が強まった。官公庁、民間工事ともに減少傾向が強まったが、官公庁工事の減少幅がより大きかった。来期の受注総額は、減少傾向が相当強まる見込みで、特に官公庁工事では減少傾向が強まる見通し。
 「資金繰り」は今期、前期と同様のB・S・I値となった。来期は厳しい傾向がかなり強まるもようで、B・S・I値マイナス6・5は、過去10年間で最も厳しい数値となる見込みだ。
 今期の「金融」は、銀行等貸出傾向で容易な傾向が若干弱まった。短期借入金の基調は変わらなかったが、短期借入金利は上昇傾向が強まり、B・S・I値19・5は、過去10年間で最も高い水準となった。来期の銀行等貸出傾向は、容易な傾向がやや弱まる方向。短期借入金利は上昇傾向が続く見通し。
 「資材」関係では今期、資材の調達で困難な傾向が続いており、資材価格は上昇傾向が著しく強まった。来期は、資材の調達で困難な傾向が弱まり、資材価格は上昇傾向がかなり弱まる方向。
 今期の「労務」は、建設労働者の確保で困難な傾向が強まり、B・S・I値36・0は、過去10年間で最低の水準となった。賃金は上昇傾向が顕著に強まっており、B・S・I値は37・0と、こちらも過去10年間で最も高い数値を示した。来期は、建設労働者の確保で困難な傾向が続く一方、賃金は上昇傾向が相当弱まる見込み。
 「収益」は今期、減少傾向が弱まった、B・S・I値はマイナス5・5であるものの、過去10年間の比較では最高の数値となった。減少の理由では、『完成工事高の減少』が群を抜いてトップ。次いで『人件費の上昇』が続き、『下請代金の上昇』と『資材価格の上昇』、『諸経費の増加』が概ね同率で並んだ。来期の収益は、今期と同様の傾向が続くもようだ。
 今期の経営上の問題点は、『人手不足』が圧倒的なウエイトで依然最多。以下、『従業員の高齢化』、『受注の減少』、『下請けの確保難』、『人件費の上昇』の順。
 なお、自社の業況については今期、悪い傾向が続いており、来期は悪い傾向が弱まる見通しだ。
 詳細は表を参照。

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