伊藤忠商事株式会社を幹事会社とする日本海側東北地方CCSコンソーシアムは、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JОGMEC)の6年度「先進的CCS事業に係る設計作業等」に採択された日本海側東北地方CCS事業の調査・検討結果をまとめた。5年度の調査では、液化CО2輸送船の受入基地として秋田港と船川港を候補地に選定していたが、6年度は秋田港・秋田湾産業新拠点「A−BIZ」を最終候補地とし、具体的な検討を実施している。
6年度の「先進的CCS(CО2の分離回収・貯蓄)事業」は、JОGMECが国内貯留5案件、海外貯留4案件を選定。採択された9案件の成果報告会が今月9日、東京都港区のニッショーホールで開催された。
選定された案件のうち、「日本海側東北地方CCS事業」は、日本製鉄の九州製鉄所大分地区と、太平洋セメントグループのデイ・シイ川崎工場から分離回収したCО2を、船舶輸送で本県沖に地下貯留するもの。九州製鉄所大分地区から年間約100〜140万t、デイ・シイ川崎工場から年間約50万tのCО2を回収(精製)・出荷し、船舶で本県の港まで輸送し一時貯蔵後、本県沖に地下貯留する構想となっている。
貯留対象エリアは離岸距離約20km、水深100〜400m。CО2を遮蔽できる帽岩からなる「笹岡層」を貯留対象層として、5年度に圧入シミュレーションによる貯留層評価を実施した。6年度は5年度の結果を踏まえてCО2圧入に伴う地下の応力状態の変化と影響の評価を行い、地層を破壊することなく、安全に目標圧入量の達成が可能とした。
受入基地には貯留候補地からの距離や必要な敷地面積を踏まえ、秋田港・秋田湾産業新拠点「A−BIZ」を最終候補地に選定。年間貯留量191万tを条件に、液化CО2の配管、受入桟橋の設置場所を決定し、海水取水口・放水口・取水配管・放水配管の配置案をまとめた。また、地質調査で地盤条件も確認している。
今後は、9年度まで設計を進め、10年度から各設備の建設工事、貯留のための掘削を進める想定。設計を進めるにあたり、秋田港では係留施設予定箇所の土質調査を事前に実施する必要があるとしている。
提供:
秋田建設工業新聞社