名古屋市緑政土木局は7月24日、道路空間の目指すべき姿を示す「道路ビジョン(仮称)」の策定に向け、第2回の有識者懇談会を開き、中間案を示した。道路本来の通行機能に加え、まちの魅力を高め、環境に配慮した道路を目指していくことを基本方針とし、道路空間に対する新たなニーズに対応していくため、リンク(通行)&プレイス(滞在)手法を取り入れ、道路の機能別に目指す姿を示す考え方を案としている。同ビジョンは、2025年度内に全体計画案を取りまとめ、26年8月ごろの策定・公表を目指している。
道路は本来の「通行機能」に加えて、「にぎわい空間の創出」、「自動運転など新たなモビリティの通行に対応した機能」など、道路が立地する場所(都心部、住宅地、郊外など)によって求められるニーズが多様化してきている。今回策定するビジョンは、個別道路の再整備を検討するに当たり、整備方針を決める際の指針とする。
道路ビジョンの基本方針には▽人を引きつける道路▽いつでも自由に移動できる道路▽安全で心地よい道路―の3つを盛り込む考え。人を引きつける道路は、にぎわいや魅力、通行といった要素を実現していく。いつでも自由に移動できる道路は、円滑でスムーズな移動ができ、災害時も安心できる空間を目指す。安全で心地よい道路は、脱炭素化に配慮し、自然や景観と調和した安全で快適に移動と滞在ができる空間を実現していく。
リンク&プレイス手法は、道路を通行機能と滞在機能に分け、道路分類(幹線道路、区画道路などの生活道路)に応じて該当道路の位置付けを決めていく考え方。通行機能と滞在機能を同等に重要視するとともに、道路分類では表現できない「空間に求められる機能」の表現が可能な手法と市は説明している。
同手法による道路の目指す姿は、暮らしやコミュニティーを支える道路や、都市を結ぶ幹線、都市の顔となるメインストリート、にぎわいあふれるまちの歩行者空間といった道路機能別に、当該道路で目指すべき姿を表現する。同日の懇談会では現時点での検討として、都市の骨格を成す主要幹線軸など14の目指す姿(ビジョン)を考えていく方向性を示した。ビジョン数は今後の検討により増減があり得るとしている。
次回12月に予定する懇談会では、道路の目指す姿の特性(通行、防災、交通安全、環境、にぎわい、魅力)を可視化する手法などを検討するとともに、実現に向けた手法などを考えていくとしている。
提供:建通新聞社