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北海道建設新聞社
2025/07/29

【北海道】猛暑が続く道内/暑さ対策に悩む建設現場

 道内の暑さがとどまるところを知らない。24日も網走・北見・紋別、釧路・根室、十勝で熱中症警戒アラートが発表された。網走・北見・紋別は4日連続、十勝は3日連続になる。24日午後4時現在の速報値で、北見は観測史上最高の39度を記録した。帯広の気温は予想された40度に迫る38・8度に達し、命に関わる危険な暑さが続く。建設現場は休工と暑さ対策に頭を悩ませ、熱中症の救急搬送が相次ぐ中、家屋は冷房の重要性が急浮上、学校はエアコンの設置が急がれる。
 24日の道内は、8地点で38度以上を記録。北見と津別、美幌、標津など16地点が観測史上最高気温をたたき出した。道内の熱中症による平日救急搬送人員は速報値で22日が47人、23日が50人、24日が52人に上る。
 焼け付くような暑さに見舞われた道東では、宮坂建設工業(本社・帯広)が23−25日に各現場を休工。気温が午後2時で34・9度に達した別海町では、寺井建設(同・別海)は現場にエアコンやスポーツドリンクを完備するものの、徳田浩也専務は「30度前半ならまだしも、体温を超えるような暑さとなると飲み物などで乗り越えるのはきつい」と頭を悩ませる。
 真壁建設(本社・根室)と阿寒共立土建(同・釧路市)は、いずれも休憩を取り、冷たい飲み物やアイスなどで暑さをしのぐ。連日30度超えの夏が珍しい道東では、あの手この手で現場の稼働を維持する日が続く。
 発注者側も現場を気に掛ける。23日に続き24日も観測史上最高気温を更新した美幌町の森口尚博建設課長は「猛烈な暑さなので稼働状況の把握に努めている。熱中症への注意喚起をしている。現場からは『暑さが厳しいので午前中で仕事を切り上げた。今週いっぱいは休工する』という声が聞かれた」と話した。
 北海道労働局は職場での熱中症予防対策として5−9月に「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を実施中。吉田佳孝健康課長は「熱中症対策だけでなく、万一体調が悪そうな人が出た時、いち早く適切な対応ができるよう共有して」と注意喚起する。
 屋外だけでなく室内も油断はできない。消防庁がまとめた14−20日の熱中症による救急搬送状況(速報値)を見ると、全国5309人のうち2202人は住居で発生。北海道は搬送者243人のうち、住居が50・6%に当たる123人だった。道保健福祉部地域保健課の石川雅子課長補佐は「エアコンの使用や小まめな水分補給、場合によっては塩分を補給し対策を」と呼びかける。冷房がない場合は、市町村が指定したクーリングシェルターに避難することも一つの手段。道や市町村のホームページなどでの確認を助言する。
 学校も早めの対応を取った。道教委によると24日は、道内の小中学校、高校などを合わせて、北広島市や鹿追町、中標津町、標津町などの59校で臨時休校となり、258校で下校時間繰り下げをした。背景には登下校時の熱中症防止や、エアコン設置が道半ばという現状がある。
 2024年9月1日時点での道内小中学校の冷房設置率は普通教室で82・6%。猛暑に見舞われる道東の50自治体を見ると、小中学校で未設置普通教室があるのは26市町村で、うち5市町は設置ゼロとなっている。帯広市教委によると、小学校の全普通教室にはエアコン設置が完了。25年度は南町中を除く全ての中学校で設置工事を進め、年度内に完了する見通し。現在はスポットクーラーで対応している。大樹町教委は「小中学校は24年度に設置したが、エアコンがない一部の特別教室は、カリキュラムを調整して夏場は使用しない」と対策を明かす。
 「経験したことのない」熱波に見舞われている。本紙記者も23日、屋外で取材中に熱中症に見舞われた。熱中症警戒アラートが出る状況下、吐き気、頭痛を感じた。汗が出なくなり冷房が設置された施設へ退避すると、ようやく症状が収まり始めた。体の異変を感じたら、涼しい場所への退避などを実感したという。
 異常気象や温暖化の傾向は今後も継続すると推測される。冷房設備の設置は道内にとって喫緊の課題となっている。