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建通新聞社(静岡)
2025/07/28

【静岡】静岡発!デジタル技術活用で遠隔から災害復旧支援

 静岡県は、3次元点群データを活用した「遠隔災害支援」に取り組む。技術者が被災現場に行かなくても遠隔から災害復旧支援ができるシステムを構築し、全国での標準モデルとなるよう静岡県が先頭に立ち仕組みをつくる。
 システム構築に向け、県は社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)と「災害対応におけるデータ活用に関する連携協定」を締結。7月15日、県庁で交通基盤部の梨記成部長、AIGIDの関本義秀代表理事が協定書に調印した。
 協定は、双方が持つデータや情報基盤を活用して、迅速な災害対応を実現するためのもの。連携事項は▽被害状況など、災害情報の把握▽点群データなどを活用した遠隔地からの災害復旧支援―に関すること。
 梨部長は「測量設計業界からの期待もある。将来的には全国の技術者が連携し、災害に強い国土の形成に寄与したい」と述べた。関本代表理事は「静岡県は防災対策の先進県だと認識している。今回の取り組みも他県へ波及し、ステップアップしていけば」と意欲を語った。
 遠隔災害支援の進め方は、今後、AIGIDが持つ社会インフラに関わる情報の収集、配信、流通環境の整備に関するノウハウを活用して、技術者が被災現場に行かなくても遠隔から災害復旧支援ができるシステムを構築する。被災箇所の写真、動画、3次元点群データ、現地調査資料、設計図書などをWEB地図上で共有できるシステムとする。
 システム構築後、過年度の災害復旧データを用いて、模擬的に県内支援の試行から始め、その後点群データを活用する他県や災害支援で関係のある他県などとの県外支援の試行に発展させ、全国での災害復旧支援の標準モデルとなるよう取り組む。
 連携協定の背景には、石川県が保有していた能登半島地震被災前の3次元点群データを、静岡県が東京都と連携してインターネット上で公開し、遠隔からでも被災前後の地形状況を把握できる環境を整備したことがある。災害復旧の計画、設計で活用されたが、現地の技術者が不足していることから、社会インフラの早期復旧には遠隔からでも支援ができる仕組みが必要となっている。
 このためAIGIDと連携し、3次元点群データなどを活用して技術者が被災現場に行かなくても、遠隔地から災害復旧支援が可能なシステムの構築を進め、県が先頭に立って遠隔災害支援の仕組みづくりに取り組んでいく。
 東日本大震災以降、復旧支援として県は全国の大規模災害の被災自治体へ、2025年7月現在までに延べ187人の土木技術職員を派遣している。

【社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)】産官学の関係機関が連携して、社会インフラに関わる情報の収集・配信・利活用などの流通環境の整備を目的に2011年9月に設置。サステナブルな社会基盤情報の流通環境整備をさらに推し進めるため、14年4月から一般社団法人として活動をリ・スタートした。

(提供:建通新聞社)