本庄市は、最大規模の大雨などによる浸水被害を想定して、下水管の一種である雨水管整備などの対策をまとめる「雨水管理総合計画」の策定に着手した。計画策定は同市として初めてで、県内でもまだ珍しいという。雨水管理方針と段階的対策との2段階に分け、2年かけて完成させる予定。今後、同市が下水道事業などで手掛けるハード面の施工スケジュールも盛り込まれる見込みだ。
計画の対象とするのは、市内の山林を除いた区域6472ha。
同市の下水道事業で短期、中期、長期において浸水対策を実施すべき区域や、目標とする整備水準などをまとめる雨水管理方針を25年度に定める。さらに、26年度には、具体的な対策内容を詳細に盛り込んだ段階的対策を示す想定だ。両方がまとまることで、同計画が完成する。
同市ではこれまで、5年に一度程度発生する可能性があるとされた、1時間当たり57oの降雨時の浸水を想定。対策として、雨水を集めて配水する雨水管の整備工事などを進めてきた。これまでの進捗率は、計画上のおおよそ8割程度に及ぶという。
だが、近年、台風の激甚化やゲリラ豪雨などの被害が相次いでいることを受けて、国土交通省は、将来、起こりうる最大規模の降雨への対策が必要だとして、その対策事業についても、補助金の対象とする方針を打ち出した。
こうした流れから、同市では、ハザードマップの一つに位置づけられる浸水想定区域図を23年度に作成した。同市の過去の気象情報などをもとに、従来より大幅に想定規模を拡大した、1時間当たり153oの降雨のケースでシミュレーションを実施した。同市において将来、想定できる最大規模に相当する降雨量だという。
シミュレーションでは市内で地域ごとにどの程度、浸水被害が生じるかを推定。河川の増水による影響は含まないものの、市内で発生する浸水の深さは0〜3mに達し、この浸水の深さに応じてマップ上で色分けした。
作成した浸水想定区域図を基礎にして、25年度にまずは同計画の雨水管理方針を定める。
この方針では、地域に生じる浸水の深さや、その地域が住宅地であるか、人口が密集しているかなどを総合的に勘案。ハードやソフトの両面から対策の必要の是非や、その優先度合いなどの判断を規定する。
雨水管理方針については、すでに東洋コンサルタント埼玉支店(さいたま市、電話048ー885ー6014)が担当。26年3月27日までの納期に向け、現地調査などに乗り出している。
さらに、同計画の第二段階として、具体策を盛り込む段階的対策をまとめる必要があり、こちらは26年度に手掛ける予定だ。
大雨などへの対策として、ハード面では、雨水が川に流れる前に一時的に貯蔵する調整池整備や、雨水管のバイパス施工や新設のほか、雨水の流れを妨げないように適切な側溝整備を行うことなどが想定されている。
一方、ソフト面では、家屋などへの水の侵入を防ぐ止水版を、住民らに設置してもらうための補助金導入などが挙げられる。避難誘導する措置などもソフト面での対策になるという。
段階的対策では、地域ごとに実際に実施すべき具体的な対策を選別して明記し、施工スケジュールなども具体化して示していく方針だ。
本庄市下水道課は「重点的に取り組むべき対策を判断して、早期に計画をまとめていきたい」としている。
提供:埼玉建設新聞