愛媛県県民文化会館とその周辺県有地の活用に関する検討会議の初会合が7月29日に県庁であった=写真。MICE誘致を目指していた過去2回の事業協力者募集が不調に終わったこれまでの経緯や課題などを確認するとともに、県民文化会館の強みと弱み、特に展示スペースや会議室の不足、デジタル対応の遅れ、宿泊施設や駐車場の課題などを整理し、これら課題を踏まえたMICE機能強化など活用の方向性の検討に入った。
冒頭、県企画振興部の山名富士部長があいさつし、過去2回の事業協力者募集が不調に終わったことを踏まえ、今回は視野を広げて活用の方向性を新たに検討する旨を表明した。続いて、事務局の総合政策課がこれまでの経緯と今後の進め方について説明。2023年11月に取りまとめた活用の方向性では、県の総合計画に掲げる将来像の実現に向けて、交流人口拡大や国際的なMICE開催、海外富裕層誘致の重要性を示したものの、県ではG20労働雇用大臣会合以降の国際的なMICE誘致が進んでおらず、松山市内ではコロナ禍でホテルの減少も進み、MICE誘致の競争力が低下している現状を紹介した。この状況を打開するため、県民文化会館に隣接する県有地を有効活用し、MICE機能の向上を図る集客交流施設の整備を軸とした提案を民間事業者に求める取り組みを23年度に開始したことを改めて示した。
県民文化会館と周辺県有地の活用について、これまでに県は、23年7月19日から県民の活用アイデアを募集し、同年11月20日に活用の方向性を公表した後、民間事業者主体の官民連携事業として事業協力者募集を開始。一回目の募集では4者の参加表明があり、1者から提案があったものの、参加資格要件を満たさず失格となった。
二回目の募集(24年3月21日開始)では2者の参加表明があったものの、両者とも辞退し、同年8月19日に募集を終了して事業を再構築することになった。その際、事業者との個別対話から、急激な円安の進行、金利政策の変更、大阪関西万博や半導体工場建設に伴う建設費高騰、人材不足などにより事業環境が悪化したこと、また分科会対応の会議室機能やバンケット(宴会など)機能の収益性の低さが課題だったとしている。
県は今後、これらの課題を解決するため、検討会議での議論を踏まえてまずは活用の方向性を改訂する方針。民間事業者に全てを任せる整備方針を一部見直し、官民の役割分担をしっかり明確化する。今後のスケジュールとして、8月下旬に2回目の会議を開催して改定の方向性案を提示し、9月に活用の方向性を改定した上で、10月以降にサウンディング調査や公募要件の精査を進める。事業協力者募集の再開時期は現時点では未定だが、公募要件が整い次第、3回目以降の検討会議で意見を聴取しながら進めていく考えだ。
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建通新聞社