横浜市は、市営洋光台住宅A〜C街区の建て替えについて、事業期間を2042年度までに繰り延べる見通しを明らかにした。当初は33年度完了を予定していたが、入居者の仮移転に必要な空き室が団地内で十分に確保できておらず、街区を小規模に工区分けして工事を進める必要性などが生じているという。また、物価上昇や省エネ性能水準の引き上げといった社会環境の変化に対応するため、事業費の増額を見込む。これらの見直しを月初に開催した公共事業評価委員会で諮り、委員からは事業継続が「妥当」とする評価を得た。
洋光台住宅(磯子区洋光台5ノ5)では、面積4万8740平方bの敷地をA〜C街区の三つに分け、老朽化した既存住棟を順次建て替える計画となっている。
現在、初弾となるA街区の造成工事を行っている段階。9月に建築工事を始めて26年度内の完成を予定している。
次に着手するC街区の一部(現・19、20号棟)には、PFI手法の導入を検討中。11月にも実施方針を公表し、26年4月の入札公告、同年11月の落札者決定を見込む。
今回の委員会で市は、C街区に残る住棟4棟(現・15〜18号棟)を2工区に分けて37年度までに建て替える見通しを新たに提示。その後、B街区の工事を38〜42年に実施する想定を説明した。事業手法については、C街区で実施するPFIの事業経過をみながら判断する。
工区を分ける要因としては、住民の仮移転に関して自然退去が想定よりも少なかったことに加え、近隣の市営住宅ではなく、洋光台住宅内への移転希望が事前の調査を上回ったという。
このため、工区を小分けにして仮移転と戻り入居を進めることにした。今後、空き戸数が増加した場合など、情勢の変化があればその都度、事業期間を見直す。
また、A街区の事業を進める中で地中障害が大量にあることが分かったり、支持地盤の傾斜が想定以上で設計から見直したりするなど、事前に把握することが難しかった事態も起きたという。
事業費については、当初計画の183億円から280億円(97億円増)に見直す方針。物価や労務単価の情勢を反映する他、脱炭素社会の実現に向けて公営住宅の整備で満たすべきZEH水準が引き上げられたことなどを受けて見積りを精査した。
提供:建通新聞社