国土交通省九州地方整備局は、指宿港海岸直轄海岸保全施設整備について、天然砂むし温泉の地下水の影響範囲で突堤構造を変更する。また、観光価値を低減させない修景処理が必要となったほか、資機材単価等の上昇もあり全体で約65億円の事業費を増額する。
突堤構造の見直しは、当初計画の矢板構造で施工した場合、鋼矢板の貫入によって温泉水と海水の地下での移動を阻害し、天然砂むし温泉への影響が生じる恐れがあることが判明した。
このため、突堤構造を一部コンクリート構造に変更。天然砂むし温泉の観光価値を低減させないための修景処理が必要なこともあり、約26億円を増額する。
養浜工の整備で下層(アンコ)部は、近隣の浚渫工事にて発生する浚渫土砂を有効利用する計画としていた。工事完了に伴い当初計画していた土量の確保が困難となった。一部購入砂への変更が生じ約6億円の増額が必要となった。
また、コンクリート等の材料単価や労務単価、機会損料等の上昇に伴い、事業費を精査した結果、約33億円の増額が必要だが、今後も資機材単価の上昇が継続する場合、さらなる費用増加の可能性がある。
事業期間は2014〜27年度。事業費は245億円に膨らみ、事業費ベースの進捗は約69%。
現段階の残事業費は、護岸(改良)6億円、離岸堤(改良)8億円、突堤41億円、護岸(養浜)21億円など計77億円を見込む。
なお、背後地の緑地開発では、指宿市が事業スキームや方法、整備手法の民間活力の検討を進めている。