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秋田建設工業新聞社
2025/08/18

【秋田】秋田市汚水管路でウォーターPPP実施を検討/今年度中に方針固める意向

 秋田市上下水道局は、水分野の公共施設を対象とした官民連携方式「ウォーターPPP」を汚水管路で検討するため、「下水道事業におけるウォーターPPP発注書類等作成支援業務」を日本下水道新技術機構に随契で委託した。昨年度に同機構が実施した導入検討業務を精査し、民間市場調査に向けた整理、全体事業費の試算、民間市場調査の実施、契約手続きに係る資料作成を行うもの。市は9年度以降の導入を見据え、今年度中に方針を固めたい意向。

 ウォーターPPPは水道、下水道、工業用水道分野において、長期契約で維持管理、修繕、更新工事、運営などを行うもの。国は水分野の維持管理をレベル1〜4で区分けしており、複数年度・複数業務の民間委託をレベル1〜3、ウォーターPPPに該当する公共施設等運営事業(コンセッション)をレベル4としている。

 レベル1〜3は民間委託期間が3〜5年程度と短期契約、レベル4のコンセッションは契約期間10〜20年の長期契約であるため、令和4年〜13年を計画期間とするPPP/PFI推進アクションプランで新たに「管理・更新一体マネジメント方式(レベル3.5)」を新設。原則10年の契約で性能発注や維持管理、修繕などを行う考え方を加えた。この方式には契約の中に更新工事も含める「更新実施型」と、工事は含めずに更新計画案やコンストラクションマネジメント(CM方式)を行う「更新支援型」の2つがある。

 昨年度に秋田市が委託したウォーターPPPの導入検討業務では、秋田市上下水道事業基本計画やストックマネジメント計画等の内容、既存の包括的民間委託の現状・課題を抽出し、導入における課題や効果、全体スケジュールを整理した。

 今回、日本下水道新技術機構に委託した発注書類等作成支援業務は、市の公共下水道管路1,709kmと、農業集落排水管路98km(7年3月末時点)が対象。過年度の業務を精査して全体事業費を試算したうえで、民間市場調査を実施して事業スキーム案や参画要件、要求水準書などを示し、参入意欲や懸念事項などを調査。事業スキームを再整理する。

 また、ウォーターPPP事業を公告して事業者選定手続きを行う場合の資料として、実施要領や要求水準書、企画・技術提案評価項目及び基準、入札提出書類様式集、基本契約書(案)および年度協定書(案)などの素案も作成する。

 秋田市で現在、推進している下水道管路維持管理の包括業務委託では、第1期で2年半、現在の第2期で2年(7・8年度)の契約期間を設け、管理の調査や診断を行っており、国交省が推進するウォーターPPPの中では契約期間を除きレベル3.5に近い手法が採用されている。本格的にウォーターPPPを導入すれば、維持管理の計画期間は10年(原則)になることが見込まれる。市は今回、委託した業務の成果を踏まえて年度内に導入方針を固め、早ければ8年度に実施方針を公表したい考え。

提供/秋田建設工業新聞社