国土交通省近畿地方整備局は、今年6月4日に公布・一部施行された「災害対策基本法などの一部を改正する法律」を受け、8月7日に緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)と府県職員による合同研修を初めて行った。
今回の研修は、大規模広域災害時にTEC―FORCEと近畿地整管内の7府県が被災地で連携して自治体応援ができるよう行った。福井県、滋賀県、兵庫県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県から計23人の関連部局職員、近畿地整からは、TEC―FORCE派遣の際に班長として活動する職員を中心に12人が参加。水管理・国土保全局防災課の災害査定官や近畿地整の事業調整官、災害対策マネジメント室長と室長補佐が講師を務めた。
研修の主な内容としては、被災地でのTEC―FORCEによる調査ポイントについての講義を行い、調査結果を取りまとめるTEC―FORCE調査報告書について討議した他、2024年1月に発生した能登半島地震の際に行われた福井県との連携事例の紹介などを行った。
合同研修の参加者からは、「災害支援に対する心構えについての研修など、県に持ち帰って参考としたい点もあり、有意義な研修だった」や「TEC―FORCE派遣までのスピード感、現地調査の過酷さ、業務のやりがいを知ることができた」、「体験談を聞くことができ、地震のためになった」という声があった他、「班員が多く、時間も短かったので、なかなか全員での議論ができなかった」、「若手職員を対象とした研修も行ってほしい」といった要望が挙げられた。
近畿地整は、今回の研修を踏まえ、次回以降の研修の充実を図る他、合同訓練などについても検討していく。
国交省職員でつくるTEC−FORCEは、大規模災害の発生時、地方自治体に代わって被災状況の調査や応急対策などを行う。能登半島地震で被災した市町は、人口減少によって災害対応力の低下が進んでいたため、TEC−FORCEの派遣人数も東日本台風に次ぐ延べ2万5967人に上った。
こうした教訓を踏まえ、改正災害対策基本法では、TEC−FORCEを法的な組織として初めて位置付け、国に自治体に対する支援体制の強化を求めた。国交省は「TEC−FORCE予備隊員」、「TEC−FORCEパートナー」、「TEC−FORCEアドバイザー」、「都道府県などとの連携」を4本柱として被災自治体の応援態勢の構築を進めていく。
※写真は建通新聞電子版に掲載中
提供:建通新聞社