トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(静岡)
2025/08/20

【静岡】静岡市 エネオスと合意 新スタか改修かは年度内に決定

 静岡市は、清水区でのスタジアム整備について、現在のIAIスタジアム日本平を改修するか新スタジアムを建設するかを2026年3月までに決める。市が新スタジアム建設の最有力候補地としている、JR清水駅東口近くのENEOS(東京都千代田区)が所有する土地について、難波喬司市長と、ENEOSの山口敦治社長が地域づくりの推進に係る合意書を8月15日に交わした。
 合意書には、土地開発手法や土地売買などの検討事項、両者の役割分担などが含まれ、ENEOS清水製油所跡地の一部を市が取得することを検討する。具体的な取得面積や金額は今後詰める。
 清水エスパルスが本拠地とするIAIスタジアム日本平は完成後30年以上が経過し大規模改修が必要で、プロサッカーの試合に使うためには観客席への屋根設置なども求められる。24年3月時点の市の試算によると、大規模改修費用は約148億円、現在の場所で建て替えた場合は約236億円掛かるとしている。今後、具体的な新スタジアムの面積や建設費用などの検討と、現施設の改修費を再度算出し、新スタジアム建設か改修かを決める。
 地域づくりは組合施行の土地区画整理事業として土地開発をすることが前提で、事業の推進、運営はENEOSが主体的な役割を担う。組合の設立時期は今後、同社と協議する。
 ENEOSの土地は14万3815平方bで、これ以外に周辺の地権者6者を含めると対象面積は14万7530平方bになる。土地区画整理事業を行う場合、市とENEOSが事業内容を協議した上で、他の地権者の同意を得る方針だ。
 難波市長は会見で「新スタジアムの建設を前提とした合意書か」という質問に対し「スタジアムを建設するかどうかは、あくまで市がこれから半年かけて検討する」と述べた。
 「土地の取得はスタジアムの候補地とするためのものか」という問いには「リスク分担だ。開発をすると土地の価格は上がるが、売れ残る恐れもあり、事業者の採算リスクとなる。リスク全てをENEOSが負担するのは適切ではないと考え、一定の面積を市が取得し、市とENEOSでリスク分担をする」と狙いを述べた。また「(清水駅前という)良い場所を地域社会のために使えることが市のメリットだ」とも付け加えた。
 難波市長は「民間投資が相当入らなければ、市の負担だけでは新スタジアムはできない」と、民間活力の活用の必要性を認識。市が負担できる金額について「来年3月までに詰めていく」とした。また「スタジアム単体では採算が取れないため、複合機能を盛り込んだスタジアムシティの形で造っていくと思う」と述べた。
 タンクの撤去や土壌改良の費用を市とENEOSどちらが負担するかについてはこれから決めていく。
 新スタジアムを建設する場合、IAIスタジアム日本平をどう活用するかは、「最低限の補修をする場合の費用は約20億円という以前の試算がある。補修を行って、(プロスポーツではなく)市民利用で今後も使い続けるのではないか」との考えを示した。

(提供:建通新聞社)