大阪府は、8月18日に開いた第1回大阪府総合教育会議で今秋に策定する「府立高校改革アクションプラン」の概要を示し、その内容について議論した。アクションプランでは、人口減少などのさまざまな社会の変化に伴う学びの在り方とともに、建て替えや新設を含む学校配置についての方向性を盛り込む。
今後の再編整備の方向性では、生徒数減少を見据えた活力ある学校づくりを目指す。2024年度中に生まれた子どもが15歳に達する40年度の中卒者数の試算によると、25年3月の約75%となる約4万9000人となる見込み。これを基に適正学校数を試算すると、現在の校数から32校減の104校程度となる想定だ。
また、学校施設の観点では、25年3月末時点の府立高校のうち、全体の約7割が築40年以上、このうち4校が築70年以上。現行の府立高校再編整備計画および再編整備計画では、27年度までに公表する募集停止校を9校程度と定め、建て替えを含む再整備を進めている。
これまでの再編事業では、既存校舎を活用した統合整備や、同一学科同士での統合を主に実施していたが、再整備による学校の刷新感が不十分という課題があった。
これらを踏まえ、今後の再編手法について、@地域の拠点的な学校の配置A複数学科の設置B新校の教育内容の一層の特色化C建て替え、美装化を行った校舎での新校開校―の4点を挙げた。地域ごとに異なる人口動態や志願者数の推移などを踏まえ、状況に応じた適正な再編手法を検討していく方針だ。
■全府立高校で内装リニューアルを検討
アクションプランの説明を受け吉村洋文知事は「教育面と環境面で公立高校としての役割を果たすと同時に、各校がそれぞれの面で個性を持つべきだ」と主張。教育内容に加えて教育施設整備に力を入れていくとし、各校で内装の美装化を含むリニューアルを示唆した。
建て替えや新設の実施には膨大な予算や開校までに長期間を要することから、これから行う予定の特別教室への空調設置やトイレの床や壁の改修などの環境整備に加え、教室や廊下、食堂などの内装をリニューアルしていく考えだ。
吉村知事は、先行して内装リニューアルを実施している5校を視察した上で、全府立高校での実施を検討するとした。
■工業系教育で最先端技術に対応
教育内容の学校改革では、時代に即した産業人材の育成に取り組む。工業系の教育では、28年度に開校する新工業系高校で未来のものづくり人材の育成に必要なICT技術を学ぶ科目設定や、ラボ空間でのPBL(課題解決型)学習の実施を検討している。
合わせて、教育内容の充実を図るため、地域や企業、大学などと連携し、デジタル技術やAIなどの最先端技術に対応したカリキュラムの改編、実習機器・装置の導入・更新、教員研修などの推進を図る。また、工業系大学進学専科を含む大学進学ニーズへの対応、女子生徒の工業系高校への進学ニーズに対応する施設改修や多様性を重視した学校づくりを目指す方針だ。
提供:建通新聞社