井木組が三朝町横手で施工中の治山工事現場で18日、ICT法面掘削機の見学会が開かれた。高所で作業する過酷な環境下で、「重機女子」と呼ばれる女性インスタグラマーが操作に加わって体験。ICT施工の推進、担い手確保などに向け、情報発信で一役買う。
県中部総合事務所県土整備局発注の横手2地区復旧治山工事(3工区)(国補正)。法面勾配45度の急傾斜となっており、井木組は現場環境を踏まえ、高所堀削・高所法面施工を手掛ける吉紀コーポレーション(徳島県藍住町)に協業を仰いだ。
同社はドローンとレーザーを併用し、現場の点群データを作成。これが基の施工図を入れたICT法面掘削機を活用し作業を円滑に進めている。掘削機は法面上部からワイヤーロープで支えられており、安定した登坂が可能。無線通信サポートなどは、ライカジオシステムズ(東京都港区)が担当する。
特徴的な環境での活用例として、吉紀コーポレーション、ライカジオシステムズの機器を販売するmanfuku(大阪府高槻市)が連携して現場見学会を企画。
参加した県や業界関係者らが、手間のかかる急傾斜上での丁張、測量が不要になることで、労働時間の削減、事故発生リスクの抑制につながる取り組みであることを感じ取った。
また、両社は体験内容の動画配信など、情報発信で貢献してもらおうと、造成工事などを手掛けるKSK(東京都八王子市)の東香織社長を招待。
東社長は、インスタグラムでフォロワー数1万4000人を持つなど、情報発信で人気の重機オペレーター。普段は新築住宅現場などが多く、急傾斜は初めてとなったが、高所まで掘削機で上り、施工図をもとに作業を難なくこなして見せた。終了後、「貴重な経験をさせていただいた」と満足顔。
力仕事のないICT重機などが普及すれば、業界で女性が活躍できる場面は増えると見ており「重機の楽しさ、ICTの凄さをどんどん発信していきたい」と、業界の課題である担い手確保、イメージアップに意欲を見せた。
日刊建設工業新聞