国土交通省近畿地方整備局とプレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協)は8月20日、大阪市内で意見交換会を開いた。意見交換のテーマとして@年度工事量の安定的な確保A働き方改革の推進B生産性向上の推進CPC橋の長期保全の推進D機能性向上と構造デザイン性を有するプレキャストPC建築の推進―の5点についてPC建協が提案した。
PC建協の堤忠彦会長は開会のあいさつで、2024年度の会員企業の受注額が21年度から3年連続続いていた4000億円に届かなかったことに触れ、「PC建協から提案する議題のうち、特に次世代への技術の伝承や災害時の迅速な対応を可能にするためにも、年度工事量の安定・持続的な確保とPC新設の新規プロジェクトの創生に取り組んでいただきたい」と強く要望した。
PC建協はICT活用の促進について、24年4月からBIM/CIMの原則適用が始まったがPC橋では設計段階からの3次元データを引き継いでBIM/CIMを活用して施工することがほとんどないことを指摘。近畿地整は「適用前の設計が残っているためこれから徐々に移行していく見通しだ」と回答した。
また、生産性向上の観点からさらなるプレキャスト化の推進を提案。型枠を転用するための製品形状の規格の統一化・標準化が有効とし、これにより標準設計への移行でさらなる業務効率化、コストの低減につながると主張。近畿地整は、コンクリート橋のプレキャスト化ガイドラインでプレキャストの可能性を検討することをフローで位置づけていると説明した上で、猛暑が続く夏場の現場作業時間の削減に有効としてプレキャスト化を推進していくと回答した。
意見交換を終え、近畿地整の齋藤局長が「人手不足が多くの課題に直結する根本的な問題だ」と言及。女性の積極的採用や、ICT、DXの推進により必要な人手数を減らすことが重要だとし、「発注者側の技術者も減ってきている。人手不足は土木・建築業界だけの問題ではなく社会全体で起きているので、若者に建設業を選んでもらうための魅力向上が必須だ」と強調した。
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