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建通新聞社(神奈川)
2025/08/19

【神奈川】県 伊豆湘南道路ルート選定へ 本年度は目標設定とリスクの抽出

 神奈川県と静岡県は、伊豆湘南道路の概略ルートの選定に向けた「政策目標」を本年度内に設定する見通しだ。五つの政策目標案について妥当性を確認するためのアンケート調査を行い、本年度末ごろに開催する次回の委員会で内容を固める方針。前回の委員会で設置を決めた技術検討専門部会の1回目の会合については同様に年度末ごろを予定しており、施工に当たっての技術的な課題を把握する。来年度以降も委員会などを通じて検討を続ける。
 伊豆湘南道路は、神奈川県西部と静岡県東部を結ぶ幹線道路。両地域をつなぐ既存道路には国道1号や国道135号があるが、渋滞や災害による通行止めがしばしば発生している。
 新たな道路の機能や規格、ルート、接続位置などを決めるため、まずは「政策目標」を定める。政策目標案として▽物流(広域物流交通の円滑化)▽防災(災害に備えた道路ネットワークの確保)▽観光(伊豆半島などとの広域周遊ルートの形成)▽安全・安心(広域交通と地域の交通の分離)▽住民生活(地域間のアクセス性の向上)―の5項目を前回の委員会までに設定した。初期段階で提示した四つの目標(「安全・安心」「防災」「観光・産業」「医療・産業」)を見直し、広域的なエリアの中で伊豆湘南道路が果たす役割をより明確に打ち出した。
 伊豆湘南道路が観光や物流などの広域的な移動、災害支援ルートの役割を担うことを踏まえると、高規格な道路となる可能性が高い。このため、トンネルなど大規模な構造物となることが想定される。伊豆湘南地域は火山性の脆弱(ぜいじゃく)な地質で、活断層も多く存在するなどリスクがあるため、新たに有識者などで構成する技術検討専門部会の設置を決めた。設置に向けた調整を進めており、本年度末にも1回目の会合を開催する予定だ。本年度の部会では有識者とともに課題やリスク、配慮すべき事項などを洗い出す。
 次回の委員会は部会後に開催する予定で、アンケート調査の結果を踏まえて政策目標を固める。来年度以降はルート帯を設定した上で、概略ルートを複数案絞り込む。県の担当者は「今後しばらくは委員会などを通じて検討を続ける」とし、概略ルートの設定に向けては検討事項が多いため、時間を要する可能性があるとした。

提供:建通新聞社