神奈川県県土整備局と神奈川県建設業協会(渡邉一郎会長)は、8月21日に横浜市内で意見交換会を開いた。池田一紀県土整備局長は「建設業が魅力的な産業であるよう、引き続き取り組んでいく。お互いが大切なパートナーで有意義な意見交換をしたい」とあいさつ。渡邉会長は現場環境の改善や地元企業に配慮した入札方式などを求める要望書を手渡した。
池田局長は、前年度比1・4%増、907億円の予算を確保した2025年度県土整備局の予算を説明。建設業の人手不足の状況については「給料が良く、休暇が取れ、希望が持て、かっこいいといった新4Kの魅力的な産業にしていく必要がある」と述べ、業界と危機感を共有。昨年に神建協が要望した現場のトイレ環境の改善を例に挙げ、さらなる労働環境の改善を進める考えを示した。
渡邉会長は資材価格や人件費の高騰で公共工事の採算確保が厳しいことを訴えたのに続き、ICTやDXの活用で高額なソフトを入れた機器を備えるなど「現場事務所はオフィスビルと変わらない環境にある」と指摘。建設機材を守ることも含めて防犯対策に多額の費用が掛かっており、現場事務所の警備費を何らかの形で計上するよう要望した。また、県営住宅で一部導入されているPFI事業については、慎重な対応を求めた。
懇談会では、神建協が提出した26年度公共事業予算の拡充、伊豆湘南道路などの具体化など地域インフラの整備、入札契約制度の改善、働き方改革の推進、工事現場環境の改善といった課題について意見を交わした。
神建協が提出した要望は次の通り。
▽26年度公共事業予算の拡充
▽地域インフラの整備(新東名高速道路の海老名以東、川崎縦貫道路U期、伊豆湘南道路など)
▽施工時期平準化の推進
▽最低制限価格率の95%以上への引き上げ
▽特定共同企業体取扱要綱・基準の改定(工事規模を土木工事は構成員2者を7億5000万円以上、3者を15億円以上、建築は2者を8億円以上に引き上げ)
▽「インセンティブ発注」「いのち貢献度指名競争入札」の拡大
▽主任技術者の兼務(県の工事、市町村の工事との兼務)
▽市町村の品確法運用指針の市町村への徹底
▽随意契約の引き上げに伴う契約書省略金額への対応
▽包括的民間委託の導入に向けた検討(地域建設業への配慮)
▽公共工事標準請負契約約款の見直し
▽工事発注に関する事前調整
▽週休2日制推進の条件整備(適正な工期設定や経費の反映など)
▽働き方改革に対応する積算上の経費増額(現場管理費、積算基準の抜本的見直し)
▽建設現場の熱中症対策(夏季用の歩掛設定など、工期や費用の見直し)
▽建設現場の環境改善
▽DXへの対応(ICT施工に対応した歩掛の設定、工事成績評定点へのさらなる上乗せ、ICTの活用施工の実績を条件とした入札の導入、営繕工事へのASP・遠隔臨場の普及促進、ASP工事の登録者の増加)
提供:建通新聞社