国土交通省近畿地方整備局は8月25日、2025年度第2回事業評価監視委員会(委員長・山田忠史京都大学経営管理大学院教授)を開き、一括審議として「九頭竜川総合水系環境整備事業」と「円山川総合水系環境整備事業」の再評価を審議し、いずれも原案通り「事業継続を妥当」と判断した。
九頭竜川総合水系環境整備事業は、多様な生物・生育・繁殖環境を保全・再生するために、河川環境に配慮した整備を実施する。事業期間は07〜34年度。全体事業費は約38億円で、25年度以降の残事業は、水際環境保全・再生(河岸切り下げ)が2地区(0・7f)、砂礫河原再生(河道掘削、みお筋造成)が4地区(18・2f)で、残事業費は約8億円。水際保全・再生は25年度に、砂礫河原再生は29年度の完了を目指す。
今後も引き続き関係機関との連携と継続したモニタリングによる効果分析・評価を踏まえ、順応的・段階的な整備を行う。コスト縮減の取り組みとしては、掘削で生じた建設発生土を堤防拡築工事の築堤材料に流用することで20〜24年度に約5億円の縮減を実現した。費用対効果は、総便益Bが104・9億円、総費用Cは47億円でB/C=2・3。
円山川総合水系環境整備事業は、「コウノトリと人が共生する環境の再生」をテーマに、多様な生物の生息・生育・繁殖環境の復元を目指す。事業期間は03〜34年度。全体事業費は約75億円で、25年度以降の残事業は湿地再生(中郷地区)1地区、環境遷移帯創出(奈佐川地区)1地区、多様な流れの再生・創出(中郷地区)1地区。中郷遊水池整備事業に合わせて遊水池内に大規模湿地の整備などを実施予定。残事業費は約13億円。
今後も引き続き、関係機関との連携と継続したモニタリングによる効果分析・評価を踏まえ、順応的・段階的な整備を行う。コスト縮減の取り組みとしては、加陽地区の湿地形状の改良・土留め掘削土を、周辺の緩勾配盛土や埋め立て土に利用するなどして約8000万円を削減した。費用対効果は、総便益Bが122・2億円、総費用Cは115・4億円でB/C=1・1。
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