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建通新聞社(神奈川)
2025/08/27

【神奈川】神中建・横建協と行政が意見交換会

 神奈川県中小建設業協会(神中建、福島圭一会長)、横浜建設業協会(横建協、福嶋隆太郎会長)と行政(国土交通省、神奈川県、川崎市、横浜市、横須賀市、藤沢市)との意見交換会が8月26日に川崎市で開かれ、入札制度の課題などについて話し合った。両会から要望が強かった最低制限価格率の引き上げについて、国土交通省建設業課入札制度企画指導室は「中央公契連モデルは、あくまで国交省の基準であって、一部の地方公共団体でこれを上回る水準で設定している」と説明。福島会長は「それなりのエビデンスがあれば独自に設定できることが分かったので、各自治体にもお願いしたい」と大幅な引き上げを求めた。
 来賓からは河ア茂全国中小建設業協会会長が「建設業を取り巻く環境は厳しく、この状況を打開して希望の持てる産業へと転換し、若者に選んでもらえる業界にしなければならない。制度改善などを積極的に行政に要請し、会員団体を支えていく」とあいさつ。神中建の顧問を務める土井隆典神奈川県議会議員は「全国に先駆けて実施した『かながわ方式』も古びてきた。新たな入札制度を構築し、賃金を増やさないと業界のさまざまな問題を克服することはできない」と語った。
 神中建の福島会長は、土木、水道、舗装などの公共工事の入札で最低制限価格によるくじ引き入札≠ェ多い現状について、「運だけで経営が左右されている」と指摘。「官民ともに知恵を絞り、災害の対応力強化と、持続可能な業界となるよう取り組まないといけない」と改めて訴えるとともに、熱中症対策について当初の設計から酷暑の影響を工期に織り込むなど本腰を入れた対応を求めた。
 横浜建設業協会の福嶋会長は「公共工事を受注する者のプライドもあり、私たちが未来の若者へしっかり託せる業界とするように汗をかいていく必要がある。受注者・発注者で力を合わせてこの難局を乗り切りたい」と官民の連携を強調した。
 働き方改革については、神中建の川崎支部、藤沢支部が週休2日制工事の補正係数の引き上げや、現場の実態に即した作業時間に基づく工期設定を要望。また、藤沢支部と横建協が改正労働安全衛生規則に伴う熱中症対策として、夏季の暑さによって作業が制約される状況を加味した工期や経費を設けるよう求めた。
 入札制度では、神中建の川崎支部と横須賀支部が同札による「くじ引き入札」を問題視し、インセンティブ発注の採用や、さらに細分化したクラス分けなどの是正策を提案。川崎市、横須賀市からは近年の制度改善が説明され、さらに業界の指摘を受けた改善を検討するとの回答があった。藤沢支部は藤沢市が導入したインセンティブ発注の適用件数を全体の40%程度まで拡大することを要望。また、最低制限価格について横建協が適正利益を得るためには予定価格の95%以上が適正とし、他団体も賛同した。

提供:建通新聞社