建通新聞社は、政令指定都市の中で人口・予算規模でトップ3を占める横浜市と大阪市、名古屋市の入札結果を集計・分析した。3政令市が2025年上期(1〜6月)に開札した競争入札の結果が対象。この中で不調・中止の発生率をみると、名古屋市が11・7%、次いで横浜市が10・1%と2桁台であるのに対して、大阪市は4・5%。大きく差が開いている現状に、何らかの対策が必要となりそうだ。
横浜市が上期に実施した競争入札1266件のうち不調は123件、中止は5件。発注件数は、名古屋市が899件、大阪市が579件。横浜市の発注件数が両市よりも非常に多いことに加え、不調・不落の発表方法などにも違いがある。
ただ、横浜市だけをみても、23年度と比べて24年度の不調・不落率は増加傾向(建通新聞の独自調査)。24年度には、「旧上瀬谷通信施設公園(仮称)パークセンター1新築工事」(WTO対象、総合評価落札方式)の当初入札で、価格面を理由に応札者が辞退する事例もあった。
同案件を含めて横浜市の入札では、再公告を経て落札者が決まる場合がほとんどだが、一度不調になれば事務手続きの負担増加や、工期の繰り延べなどの影響が避けられない。増加の要因を見極め、歯止めをかけることが、公共工事の円滑な履行と品質の確保には求められる。
横浜市は、不調・不落について「多角的な要因があり、一概に特定するのは難しい」と話している。本紙の取材では、前述の案件のように予定価格に課題があるケースの他、人手不足を背景に応札する案件を厳選している状況もあるようだ。発注者には今後、地域の状況を踏まえた発注方法の工夫が求められるのではないだろうか。
提供:建通新聞社