県、資源エネルギー庁、国土交通省港湾局は4日、「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖(北側・南側)」の2海域について第6回協議会を開催。三菱商事が出席して両海域の事業から撤退するに至った経緯と、地域における今後の取り組みを報告したほか、経産省の今後の取り組みについて審議した。
冒頭、資源エネ庁省エネルギー・新エネルギー部の小林大和部長は「三菱商事をはじめとするコンソーシアムの撤退は大変遺憾。日本の洋上風力導入に後れを取らせ、地元の期待を裏切る行為であること、日本を代表する大企業である自覚を持ち、地域と向き合っていただきたい」と述べた。
三菱商事は、8月27日に経産省と国交省に撤退を申し入れた。サプライチェーンのひっ迫、インフレ、為替・金利の上昇などによりコストが膨らみ、事業性再評価でコスト最適化の検討や収入改善の検討(事業期間の延長、FIPへの移行など)を行ったが、施策が実現しても事業継続は困難との結論に至った。
地域における今後の取り組みでは、地域・漁業共生策(STEAM教育プログラム、鮭のふ化放流事業支援など)、AIオンデマンド交通や真牡蠣養殖等の事業化に向けた実証支援など、取り組んでいる施策を着実に完遂させる考え。秋田支店は継続し、「秋田の未来づくり会議」や特産品を活用した商品開発など、地域の課題解決に向けた取り組みを行うとともに、早期の再公募実施に向けたデータ提供にも協力すると報告した。
経産省では今後、地元に対し丁寧に対応しながら再公募に向けた環境づくりを行うほか、撤退要因の検証と制度見直しを含めた事業環境整備について議論。地元の理解を得たうえで、速やかに再公募の実施を目指す。次回以降の協議会で、再公募に向けた意見を取りまとめる予定。
協議会メンバーからは、事業者の早期決定が必要という考えを前提に、「漁業影響評価をもっと細やかに行うべき」「事業評価に向けた実務者会議が必要」などの意見が出たほか、「速やかな再公募」に合わせ「不公平感のない再公募」「スケジュールの情報提供」などについて要求があった。
提供/秋田建設工業新聞