北海道建設新聞社
2025/09/09
【北海道】夕張市の庁舎整備が始動/26年4月に移転新築の事業者公募
【岩見沢】財政再建団体(現・財政再生団体)入りから18年、先送りを余儀なくされてきた夕張市の庁舎整備が動き出す。市は2026年4月に庁舎移転新築の事業者公募を開始する予定だ。同年12月の設計着手までに事業者を決め、28年度の着工、30年度の完成を目指す。財政再生計画下にあり、抑制した事業費や整備スキームが注目される。
本町4丁目2にある現庁舎は築47年が経過。老朽化や耐震性不足が深刻化していたが、財政破綻後の厳しい市政運営の中で整備は長年見送られてきた。
人口は最盛期の約20分の1となる5974人(8月1日現在)に減少。税収減や人件費削減を背景に、財政健全化を最優先する行政運営を続けてきたが、公共施設の安全性確保や行政機能維持はもはや限界に達していた。
8月に開かれた国・北海道・市の三者協議では、財政運営への影響を精査した上で、必要最小限の規模に絞った庁舎整備方針を確認。これにより、市政の象徴であった老朽庁舎問題にようやく終止符を打つ準備が整った。
基本計画では、現庁舎から南側約8・5qにある南清水沢4丁目の拠点複合施設りすた北側に敷地を確保。新庁舎は2階建て、執務スペースを中心に延べ4720uを想定する。そのほか外部事業者の事務室などは必要最小限に抑え、駐車場は約150台分(5300u)を整備。概算事業費は40億円規模と試算し、今後の資材価格や労務単価の変動を見据え、規模や仕様を柔軟に見直す方針だ。計画策定業務はドーコンが担当した。
整備スキームの検討も最終段階にある。市は民間資金やノウハウを活用したPFI、設計・施工を一括発注するDB、設計・施工・運営を包括発注するDBOの3方式を比較。迅速で柔軟な事業推進と財政負担の抑制を両立できる仕組みを協議してきた。現在の技術的検討を踏まえ、年度内に方式を正式決定する。
■アドバイザリー業務を10月公告
事業者公募の前段として、10月に要求水準書などの作成を担う事業者選定アドバイザリー業務を一般競争公告する予定。契約期間を26年度末までとして支援を受ける。これにより、公募条件の策定から選定・契約まで一連の流れを確実に進める考えだ。
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