京都市は、令和7年度のニーズ調査やイベント開催などを踏まえ、8年度から新しい京都市図書館構想の策定に着手する。
京都市図書館は、施設規模が20政令市で20位と最下位(4つの中央図書館(約1000〜2600u)はいずれも政令市で最も小規模(平均約9500u)、地域館も400〜600u程度と小規模。政令市における人口100人当たりの延べ床面積が政令市で18番目)。また20館のうち築年数が40年を超える館は6館、30年を超える館は13館で、半数以上が築30年を超え、老朽化している。このほか、利用者の固定化、利用世代の偏りも課題となっている。
市民ニーズの把握のため、図書館を利用していない人も含め幅広い市民を対象に〈現在の図書館の状況〉〈これからの図書館のあり方〉等に関する市民意識調査を実施、9月5日に締め切った。今後詳細な分析を行い、年内をメドに分析結果をまとめる。
また「京都市図書館における居心地の良い空間創出事業」として、左京図書館・中央図書館・右京中央図書館の3館で期間限定のイベントを開催する。
左京図書館では、ラウンジエリアと小上がりエリアを設け、親子が楽しく過ごせる空間を演出。コーヒーの淹れ方ワークショップなど関連イベントも行う。中央図書館では、ベンチエリアとラウンジエリアを設け、落ちつきながら本を眺め、新しい発見へとつなげる空間を演出する。1階のピロティに1日限定のPOP−UP空間を設け、キッチンカーで飲食しながら読書を楽しめるようにする。右京中央図書館では、円形のベンチエリアを中央に、ソファエリアを壁際に配置し、多世代との交流を図る。小冊子を作成するワークショップを1日限定で開催する。
イベント開催時にはアンケート調査を行い、利用者のニーズを把握。これに加え、図書館司書や現場職員にもアンケート調査を行い、空間創出や各種イベントにおける効果、課題を検証、新しい図書館像を探る。
9月9日に開いた記者会見で松井孝治市長は、居心地の良い空間創出事業について「全国の図書館や公共空間で様々な提案をされている馬場正尊さんが代表を務める建築設計事務所Open A(オープン・エー)と実施する。10月から来年2月下旬にかけて、少しずつ時期をずらして、左京図書館、中央図書館、そして右京中央図書館と巡回するような形で、テーマを変えて行う」「市民の図書館像を聴取し、プロの意見も聴きながら、令和8年度以降、具体的な新しい京都市図書館の構想策定につなげていきたい」と考えを述べた。