神奈川県立藤沢工科高校は、県内で建設科がある6校のうちの一つ。このうち、建築、土木、設備の三つの分野が学べるのは同校だけだ。インターンシップ制度も充実し神奈川県空調衛生工業会の協力の下、毎年7〜8社に受け入れ企業を紹介してもらい住環境系の2年生は企業を訪問する。このインターンシップの企業に就職する生徒も多いという。今回、住環境系2年生の千葉剛裕さんと、建築系2年生の大箭蓮司さんに入学したきっかけ、就職に対する思いなどを聞いた。
千葉さんは父親がエレベーターのメンテナンス企業に勤めていたこともあり、小さい頃から建設業に興味があった。姉も同校の卒業生で、自宅のトイレが故障した際に分解して修理する腕前だという。「インターンシップで仕事のイメージが分かった。まだ将来どのような職種に就くか定まっていないが、何が自分に向いているのかを探していきたい」と話す。
大箭さんは「昔から構造物を見るのが好きだった」と言う。海老名駅前のビナウォークに遊びに行くと「ペデストリアンデッキがどう接続しているのか、構造がどうなっているのか考えてしまう」と笑う。高校では建物の荷重や密集市街地の延焼防止、居室内の換気についてなどさまざまなことを学んでいる。現在は2級建築施工管理技士の資格取得に向け勉強中だ。
就職に当たり千葉さんは休みがきちんと取れることを重視するという。「社会に出ることに不安があるが、人手不足で期待されているとも感じている。経験を積むことで自分の力を発揮し貢献していきたい」と話す。大箭さんは「大卒より分からないことがたくさんあると思う。最初にじっくり研修してくれる企業がありがたい」と言う。「給与面はあまり考えていない。それよりも若い世代や女性が活躍している職場づくりを意欲的に実践している企業だと安心する」と話してくれた。
黒須智紀教諭は、「当校の3年生はデュアルシステムという長期就業体験を取り入れている。業界と社風を見て感じて企業研究をしっかり行い、将来活躍してほしい」と生徒を温かく見守っていた。(相模支局=藤井瑞穂)
提供:建通新聞社