神奈川県は9月4日、第5回県民ホール本館再整備基本構想策定委員会を開いた。施設の規模などについて議論し、大ホールは本格的なオペラやバレエの公演ができる2000〜2400席のホールとする方向でおおむね一致した。大ホールに付随する中規模のホールについては、客席数や機能が異なる四つのパターンを比較した。県民ホール全体の規模は拡大する想定で、委員からの賛同が多かった600席または800席の中ホールを整備した場合には、5000平方b程度大きくなる。
大ホールは大規模な舞台、音楽などの公演ができるホールで、音響反射板やオーケストラピット、奈落などを備える。面積は9000平方b程度を想定する。
中規模のホールについては前回の委員会で800〜1000席の規模でたたき台を提示したが、今回は四つのパターンを比較した。県民が利用できる音響反射板を備えたホールは800席と600席の2パターン。客席650席を格納してフラットな状態で利用できるスタジオ、現在小ホールに設置しているパイプオルガンを移設した400席の音楽ホールも合わせて比較した。
委員からは800席または600席いずれかの案が望ましいという意見が多く、客席を格納できるスタジオに対しては「多目的なホールとするのであればギャラリーがある」「県民による利用を前提とすると、フラットな広い空間を活用するのは難しい」という指摘があった。パイプオルガンを備えたホールについては「県民が主役になるホールが望ましい」「ホールの設計が楽器に影響されるため、別の残し方を検討すべきだ」とした。
一方、客席数を800席から600席とした場合にギャラリーや練習室などホール以外のスペースを確保できるのか、今後も建築費の高騰が続くことを踏まえると大ホールのみ整備すべきという意見もあった。
この他、機能のイメージとして美術品の巡回展ができるギャラリー3室、練習室8室、映像や衣装などの製作工房、ロビーや休憩スペース、カフェ・レストラン、事務所やVIPルームなどを示した。施設全体の規模は中ホールの客席数により前後するが、階段や廊下、機械室、駐車場などを含めた面積は現状の2万8500平方bに対して3万〜3万4000平方b程度を想定した。
提供:建通新聞社