県南部土木事務所は、栗東市安養寺地先で計画している砂防堰堤整備事業について、新年度当初予算案に用地取得関連事業費を計上し、来年度から3ヵ年程度で取得完了を目指していく方針だ。
その後については、29年(令和11年)頃から現場まで資材などを運ぶ約300bの管理用道路整備工事に着手し、1基ずつ堰堤工事発注、31年(令和13年)頃の事業完了を目指す方針だ。
同事業は、栗東市安養寺地先に位置する安養寺山の渓流を対象に、東と西に2基の堰堤を設置するもの。規模は、ともに幅約37b、高さ約7b程度の砂防堰堤を予定。なお、設計は2基とも近畿設計測量(大津市)が担当している。
砂防堰堤が設置される安養寺山の麓には、市立治田東小学校があり、同小学校は付近の緊急避難場所になっている。過去に土砂災害などは起こっていないが、砂防施設が未整備で斜面及び渓岸の崩壊に伴う土石流が発生すると小学校に甚大な被害がおよぶことが予想されることから、同事務所は優先順位を上げ砂防堰堤2基の設置を実施することとした。
県内には、土石流危険渓流2129ヵ所、地すべり危険62ヵ所、急傾斜地崩壊危険2719ヵ所など、計約4910ヵ所の土砂災害危険箇所があり、その分布は守山市と豊郷町を除く17市町におよんでいる。また、県北部には計443ヵ所の雪崩危険箇所も存在していることから、県は有事から人命・財産を守るためにハード対策として、砂防事業・地すべり対策事業・急傾斜地崩壊対策事業(雪崩対策を含む)による施設整備を推進しているところ。今回の工事もその一環で、今後も計画的に予算を図り安全・安心な県土形成を図る方針だ。
提供:滋賀産業新聞