教育環境整備や維持・災害関連に充当
被災箇所の応急・復旧(県単)に43億余
長野県は、9月25日開会の9月定例会に上程する補正予算案を公表した。一般会計には歳入歳出それぞれに74億6322万円を追加、特別会計には林業改善資金に6720万円、事業会計には流域下水道に5186万円を充当した。
建設関連の主な歳出には、高等学校再編に伴う施設整備事業や特別支援学校の施設整備などの教育環境整備関連や、自然災害により被災した道路・砂防施設などの応急対策・復旧工事などの災害対応のほか、災害の備えとして継続的に取り組むインフラの防災・減災対策に充当されている。
災害関連では、県単独公共事業に43億7489万円を追加。長野市・上田市・安曇野市などの被災箇所229カ所(道路、河川、砂防施設、森林、農業用施設等)に対して応急対策や復旧工事に充てる。部局別補正額の配分は、建設が40億7385万円、林務が2億5692万円、農政が4412万円―となっている。
維持管理分野では、補助公共事業として10億0031万円を追加。頻発化・激甚化する災害に備えるため、砂防施設等の防災・減災対策や街路整備を進める。整備箇所は県内27カ所(岡谷市、長野市、伊那市ほか)。部局別補正額の配分は、建設のみで10億0031万円とした。
このほか、高等学校再編施設整備事業では、一般会計に1億4032万円を追加するとともに債務負担行為に37億5789万円を設定。現在進む小諸義塾高等学校や佐久新校・伊那新校などの事業に充てる方針。
今回の予算編成は、このほど改定した「長野県物価高騰・米国関税措置支援パッケージ2.0」に基づき、賃上げ環境の整備やスタートアップ支援の強化、医療提供体制や教育環境の整備実施、大雨・渇水等の災害への対応など、県民生活の安全・安心の確保に必要な経費を重点に予算編成されている。同案は25日開会の定例会に上程。会期は、9月25日開会、9月30日から10月3日一般質問、10月10日閉会の予定。
建設関連の主な主要事業別予算概要は次のとおり。(※予算額は税込)
【教育環境の整備】
◇高等学校再編施設整備事業費=1億4032万 ※県立高等学校のこれからの学びにふさわしい学習環境を実現させるため、長野スクールデザインプロジェクトにおける施設整備基本計画に基づき、学校施設の整備を行う(対象施設:小諸義塾高等学校、佐久新校、伊那新校) 債務負担行為37億5789万
◇特別支援学校施設整備事業費(債務負担行為)=2億7832万 ※特別支援学校の児童生徒の増加や老朽化に対応するため、学校施設の整備を行う(対象施設:松本養護学校)
【災害への対応】
◇県単独公共事業費=43億7489万 ※被災した道路、河川、砂防施設、森林、農業用施設の応急対策、復旧対策等の実施(復旧箇所239カ所※長野市、上田市、安曇野市ほか)
◇農業水利施設渇水被害緊急対策事業補助金=1740万 ※降雨量が著しく少なかった市町村が行う渇水対策事業に対する助成(水稲渇水対策助成対象:飯山市・小布施町、その他渇水対策への助成対象:中野市・飯山市・小布施町・山ノ内町・木島平村・栄村)
【安全・安心な県土づくりの推進】
◇補助公共事業費=10億0031万 ※頻発・激甚化する災害に備えるとともに安全・安心な交通を確保するため、砂防施設等の防災・減災対策や街路の整備を推進(整備箇所27カ所※岡谷市、長野市、伊那市ほか)
◇県単独公共事業費=7億2200万 ※市街地や観光地へのアクセス道路の舗装や区画線の修繕、沿道美化を実施するほか、冬季の低温により損傷した舗装を集中的に修繕(修繕箇所48カ所※茅野市、千曲市、立科町ほか)
◇流域下水道事業費=5186万 ※2025年1月28日に埼玉県八潮市で発生した下水道管路の破損に起因すると考えられる道路陥没を受け、同様の事故を未然に防ぐため、大規模下水道管路特別重点調査等を実施
【その他】
◇信州まつもと空港駐車場整備事業費=3871万 ※信州まつもと空港の駐車場不足を解消するための空港駐車場整備・増設工事について、設計等を踏まえ必要経費の追加(施設規模100台分)
◇松本平広域公園陸上競技場整備事業費(債務負担行為)=38億 ※2028年に開催予定の「信州やまなみ国スポ・全障スポ」の総合開会式および陸上競技場の会場となる松本平広域公園陸上競技場の整備推進
提供:新建新聞社