京都市は25日、都市計画道路の合計延長35・8qを「存続」、60・0qを「廃止」とする都市計画道路網の見直し素案を市会まちづくり委員会に報告した。
10月下旬から11月下旬に素案のパブリックコメントを行い、12月に都市計画変更原案を作成、原案の説明会・縦覧などを経て、令和8年3月頃の都市計画審議会に付議し、承認されれば4月に都市計画変更の告示を目指す。
京都市の都市計画道路は、計画路線481・2qのうち整備済みは360・2q(整備率約75%)。未整備区間121・0qの内訳は、概成済区間(概ね計画幅員の2/3以上の幅員が確保されている区間、又は、現に4車線以上の車線を有する現道区間)17・6q、事業中区間8・9q、未着手区間94・5q。
市は、長期間事業に着手していない都市計画道路について、これまでに2回見直しを実施。平成13年度に10路線(約5・7q)、平成23年度に43路線(約55q)を廃止した。
今回の見直し対象は、未整備区間延長121・0qから、事業中の区間延長8・9q、京都高速道路(関連路線を含む)未整備区間延長16・3qを除いた95・8q。
見直しについて市は、都市計画道路網の見直し研究会を設置し、令和6年9月から非公開で検討を進めていた。
見直しにあたり、見直し対象路線の現状把握とあわせて、未整備の都市計画道路が所在するエリアを6つに分けたうえで、エリアごとに課題を抽出。次に、これらエリアの課題の解決に向けて、道路整備がまちづくりや都市機能の強化にいかに貢献できるかといった視点から、エリアごとで検討を進めることにより、整備優先度(グレード)を設定。そのうえで今後の人口減少や財源の制約の中で、市の持続的な発展に資する道路整備を効果的に進めるため、新たに「時間軸」の概念を取り入れ、今後の想定される財政状況を踏まえ、対象路線の存続又は廃止の判断を行い、素案としてまとめた。
整備優先度(グレード)は、[視点1]都市計画道路の整備による土地利用の高度化への貢献、[視点2]都市計画道路の整備による都市の骨格形成への貢献、[視点3]都市計画道路の整備による都市構造上のボトルネックの解消への貢献の3つの視点を踏まえ評価項目を設定し、4段階のグレードに評価した。グレード@は「対象地域における課題の解決に資する効果が高く、整備の優先度が高い区間」(12点以上/25点満点)、グレードAは「対象地域における課題の解決に資する効果が高いものの、整備の優先度がグレード@より低い区間」(9〜11点)、グレードBは「対象地域における課題の解決に資する効果はあるものの、整備の優先度がグレードAより低い区間」(8点以下)、グレードCは「対象地域における課題の解決に資する効果や整備の優先度がグレードBと同等以下であり、道路整備によるまちづくりへのマイナス効果が懸念される区間」(8点以下)。
これに時間軸の概念を導入し、整備完了までに要する期間は概ね100年程度が妥当とし、グレード@及びAを「存続」、B及びCを「廃止」する方針とした。
存続としたグレード@は28・3q、Aは7・5qで計35・8q、廃止としたグレードBは53・0q、Cは7・0qの計60・0q。
グレード@の整備に要する概算事業費は2380億円を見込み、整備完了までの年数は年20億円投入で119年、年30億円投入で79年を想定する。
これにグレードAを含めると、整備に要する概算事業費は2990億円を見込み、整備完了までの年数は年20億円投入で149年、年30億円投入で100年を想定する。
エリアごとに存続候補、廃止候補をみると、右京区西部方面エリアの存続は、▽御池通・区間1▽梅津太秦線・区間2▽御池通・区間2、3、4▽久世梅津北野線・区間1、2▽葛野西通▽西小路通・区間1▽葛野大路▽高辻通・区間2、廃止は▼久世梅津北野線・区間3▼御池通・区間5、6▼丸太町通▼嵯峨嵐山駅南通▼嵐山樫原線・区間2▼高辻通・区間1▼西小路通・区間2▼嵐山樫原線・区間1▼梅津太秦線・区間1▼馬代通▼嵯峨中通▼木辻通(全区間)。
西京方面エリアの存続は、▽山陰街道・区間2▽牛ケ瀬馬場線▽伏見向日町線・区間1、廃止は▼沓掛上羽線▼伏見向日町線・区間2▼府道太秦上桂線(全区間)▼御陵山崎線(全区間)▼久世北茶屋線▼桂駅東通▼山陰街道・区間1▼外環状線(全区間)▼向日町停車場塚原線。
伏見方面エリア(久我・羽束師・横大路)の存続は、▽羽束師墨染線・区間3、4、5▽伏見向日町線・区間4、5、6▽吉祥院下鳥羽線・区間2、3、4▽下海印寺納所線、廃止は▼羽束師墨染線・区間1、2▼向島神足線(全区間)▼横大路淀線・区間1、2▼横大路公園通▼中河原北側道▼中河原南側道▼吉祥院下鳥羽線・区間1▼竹田久我線・区間3、4▼淀駅南側道線▼淀駅前線▼三栖淀線(全区間)。
伏見方面エリア(伏見旧市街地)の存続は、▽竹田街道(全区間)▽師団街道・区間1、2▽師団街道大和街道・区間2▽伏見向日町線・区間3▽伏見大手筋線・区間1▽羽束師墨染線・区間6、廃止は▼伏見新町通(全区間)▼竹田久我線・区間1、2▼伏見向日町線・区間1、2▼師団街道・区間3▼伏見大手筋線・区間2▼師団街道大和街道・区間3、4、5▼師団街道大和街道・区間1▼羽束師墨染線・区間7、8。
山科・醍醐方面エリアの存続は、▽外環状線(全区間)▽御陵六地蔵線(全区間)▽大津宇治線(全区間)▽西野山大宅線▽大石道・区間1、廃止は▼日ノ岡西野山線(全区間)▼桃山石田線(全区間)▼深草大津線(全区間)▼大石道・区間2▼丹後橋通。
中心部エリアの存続は、▽七本松通(全区間)▽塩小路通▽大宮通▽立誠通(鴨川歩道橋)、廃止は▼清水坂道▼南禅寺道▼新町通▼高野川東岸線▼鴨川東岸線▼御前通(全区間)▼八条通▼押小路通▼三条通▼万寿寺通▼六条通▼近鉄東側道。
北部エリアの廃止は▼賀茂川小山線▼幡枝葵森線▼宝池通▼岩倉中通▼上高野岩倉線▼大原通▼京都貴船線(全区間)。